LUNCH&TOUR

アール・デコを甦らせる:山の上ホテルの館内をめぐるランチ付きツアー

2022.06.25
https://accesspoint.jp/reports/yamanoue/

日時:2022年6月25日(土)10: 30-13:00

見学場所:山の上ホテル (ウィリアム・メレル・ヴォーリズ、1937)

参加者:13名

ゲストナビゲーター:佐々木真(一粒社ヴォーリズ建築事務所)

企画:岸 佑

 

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多くの文豪に愛された御茶ノ水の山の上ホテル。1952年開業のクラシックホテルの館内をめぐ るツアーを企画しました。建物の竣工は1937年。設計したのは、アメリカ人のウィリアム・メ レル・ヴォーリズです。キリスト教の伝道を志して来日し、建築設計事務所を営むとともに、 近江兄弟社を経営した、多彩な人物でした。山の上ホテルは2019年に館内をリニューアルし、 竣工時のアール・デコの意匠を再び取り入れたデザインに変わりました。

 

今回は改修に携わっ た一粒社ヴォーリズ事務所の佐々木真氏と、山の上ホテル経営企画室の方にお願いをして、ワインバー、レストラ ン、客室などを見せていただきました。入り口から入ってすぐの星形の人造大理石床の研ぎ出 しがとても大変であったこと、階段のタイルの復元に苦労したことなどが語られました。 地下一階と地下二階のレストランを見学後は、客室へ。特別室の外にはお庭が。ある文豪が愛 した部屋は入り口に網代天井、畳の上にベッドという和洋折衷のスタイル。しかしヴォーリズ 建築のなかでみるなら、不思議とチグハグな印象を受けないのです。客室には必ず独立したラ イティングデスクを設置してあるのも、文豪に愛されたホテルならではの特徴でしょう。別の 部屋にも泊まってみたい!と思った参加者もいたと思います。

 

廊下に目を向ければ、壁に突き 当たるかと思いきや道が続く、迷路のような空間構成。これは学びの場のメタファーであり、 ヴォーリズさんの建物の特徴のひとつとのこと。思い返せば竣工当時、この建物は、佐藤新興 生活館という一種の教育施設でした。外観も山の上ホテルと同年竣工の豊郷小学校旧校舎を思 い起こさせます。最後はランチ。感想を交換しながら中華料理に舌鼓を打ちました。山の上ホ テルの3本柱である建築、文豪、食を満喫できたツアーでした。

 

レポート:岸 佑