TOUR

【山手線ツアー】原宿~代々木

2022.04.26
https://accesspoint.jp/reports/yamanote_harajyuku-yoyogi2022/

日時:2022年4月26日(火)10:00~12:30

見学場所:《WITH HARAJUKU》(伊東豊雄、2020)、《東郷神社》、《東郷記念館》(フジワラボ+再生建築研究所、2022)、《ルアール東郷》(隈研吾、2009)、《ビラ・ ビアンカ》(堀田英二、1964)《ビラ・セレーナ》(坂倉準三建築研究所、1976)、《鳩森八幡神社》、《国立能楽堂》(大江宏、1983)、《GA ギャラリー》(鈴木恂、1983)

参加者:10名

ナビゲーター:和田 菜穂子


原宿駅の目の前にある、IKEA原宿の前に集合し、ツアーが始まりました。まずは、そのIKEA原宿も入っている《WITH HARAJUKU》 を見学しました。ショップ、レストラン、イベントスペース、住宅が複合された施設であり、緑に囲まれた”たまり場”のような広場があったり、吹き抜けるような空間になっていたり、居心地の良さが重視されていました。3階には、原宿エリアの新たなシンボルにもなりそうな女性のオブジェがあり、アートもあります。目の前には、木造建築からガラリと姿を変えた原宿駅の新駅舎全体が見え、建築を通して見える時代の移り変わりを感じました。

 

その後、竹下通りを経由して、東郷神社でお参りした後、《東郷記念館》のある庭園に行きました。竹下通りの真横に、喧騒を全く感じさせない長閑な神社や庭園があるとは、驚きです。そしてすぐ近くにある、《ルアール東郷》(隈研吾、2009)を見に行きました。こちらはフォレストインフォレストという緑地の中にある結婚式場であり、隈研吾建築特有の木組み構造でデザインされた外観は、洗練された雰囲気を出しつつ、周りの緑との相性も非常に良いです。

 

続いて、都会のオアシスから離れ、都会的な街並みが広がる大通りを歩き、デザイナーズマンションが集合する一帯へ。まず最初に見たのは、《ビラ・ ビアンカ》。こちらは東京オリンピックの年に施工され、デザイナーズマンションの先駆けとも言われています。幾何学的なデザインが印象的であり、現代においてもその存在感は圧倒的なものです。その隣には、差し色としての黄色が特徴的な、《ビラ・セレーナ》があります。またその隣には、《ビラ・フレスカ》があり、この一帯には、「ビアシリーズ」が集中しています。

 

そして、鳩森八幡神社でお参りした後、《国立能楽堂》へ向かいました。ちなみに、鳩森八幡神社を設計した大江新太郎の息子が、国立能楽堂を設計した大江宏です。二つの建造物を続けて見ることによって、大江宏が父親の建築をどのように継承し、「和風モダン」な建築を生み出したのか、感じることができるのではないでしょうか。

 

最後の目的地である《GA ギャラリー》に向かい、「GA HOUSES PROJECT 2022世界の住宅プロジェクト展」という建築模型の展示会を見に行きました。その後、代々木駅まで歩き、原宿から代々木までの建築巡りを終えました。

 

今回散策した千駄ヶ谷エリアには、ファッション、インテリア、デザイン、建築関連の会社や事務所、ショップも多く、歩いているだけでハイセンスな建物に沢山巡り合える、素敵なエリアでした。原宿と聞くと、喧騒というイメージを思い浮かべますが、憩いの場となるような緑の沢山ある場所もあるということを発見し、建築家は建造物及びその周りの環境を含めて、そういったオアシスのような場を作り出す役割も果たすことができているのだと感じるツアーでした。

 

レポート:安本芽生(学生インターン)

慶應義塾大学法学部3年

 


今回のツアーは、原宿駅前を出発して、千駄ヶ谷を通り代々木へと向かうコースでした。あいにくの曇天模様で、途中何度か雨に降られましたが、参加された皆さんは和気藹々とした雰囲気でツアーを楽しんでいらっしゃいました。

 

最初に見学したのは《WITH HARAJUKU》。様々なショップとレストラン、住宅、イベントスペースまでが集まった複合施設です。ガラスと木でできた外観が目新しいです。この建築の大きな特徴は半屋外の通路があること。原宿駅から竹下通りの裏路地まで、建物の中を通っていくことができるのです。特に、3階部にあるテラスからは、原宿駅の奥にある明治神宮の森を一望でき、風が通り抜けていくことを常に感じられます。竹下通り方面は、階段上にウッドデッキが設けられていて、建物を覆うようにして木々が植えられていることも相まって、小さな山にいるような感覚になりました。都会の雑踏を眺めつつも常に自然を感じられるというのは、とても新鮮で心地よい空間でした。

 

竹下通りの横にある東郷神社を通り、隈研吾が外観を手がけた結婚式場《ル・アール東郷》を見学したあと、明治通りを歩いて《ビラ・ビアンカ》を訪れました。東京オリンピックが初めて開催された1964年に建てられ、デザイナーズマンションの先駆けとされている建築です。ガラスの箱がぽこぽこと張り出している斬新な構造は、建設から50年以上経過した今なお新鮮な驚きを与えています。現在はお店やオフィス向けに貸し出されているようで、時代を越えて愛されていることが感じられました。

 

明治通りを離れ、さらに歩いていくと、《ビラ・フレスカ》と《ビラ・セレーナ》が見えてきます。いくつもの図形を組み合わせたような迫力ある造形でありながら、全体的に美しくまとまっているのが印象的でした。真っ白な壁にぱっと目を引く黄色の配色や、幾何学模様のタイルやフェンスにはあそび心があり、見るだけで晴れやかな気分になりました。

 

《鳩森神社》で富士講と呼ばれるミニ富士山の登山をしてから、次に向かった先は大江宏の代表作《国立能楽堂》です。裾が跳ね上がっている屋根が特徴的で、神社の建物を彷彿とさせます。伝統芸能を受け継いでいく重みと格式の高さが建築から伝わってくるようでした。

 

最後に、建築専門誌『GA JAPAN』の出版社が運営する展示スペース兼ブックショップの《GAギャラリー》の見学を終えて、ツアーは終了しました。原宿から代々木まで、山手線に乗ってしまえば5分もかからない距離のなかには、数々の名建築が佇んでいました。渋谷の街といえば、東京のトレンドの最先端という印象でしたが、そこには確かな文化の積み重ねがあることを知ることができました。

 

レポート:和佐木 優里奈(学生インターン)

中央大学3年