TOUR

【山手線さんぽ】品川ー大崎 

2021.05.19
https://accesspoint.jp/reports/yamanote-shinagawa2/

日時:2021年5月19日(水)9:30~12:00
見学場所:《開東閣》、《原美術館》(旧原邦造邸)(1938、渡辺仁)、《有時庵》(1992、磯崎新)、《ゲートシティ大崎》(1999、日建設計) ほか
参加者:6名
ナビゲーター:和田菜穂子


山手線30駅間を歩きながら建築巡りを楽しむツアー。今回は品川駅~大崎駅です。やや小雨の降る中、平日開催2回目のツアーが始まりました。

 

高輪口に降り立ってすぐに見えてくるのは、品川プリンスホテルと2021年3月31日をもって閉館した《SHINAGAWA GOOSホテル(旧ホテルパシフィック東京)》です。GOOSホテル跡地は、京急とトヨタ自動車による再開発の検討が進められているとのことでした。

 

大型ホテルを眺めながら高輪の住宅地に入って少し進むと、まるでドイツの村に入り込んだかのような風景が。大木のトンネルの小道を通り抜けていくと《Princess Garten(高輪プリンセスガルテン)》という音楽ホールがひっそりと佇んでいました。併設の「ザ・テラス高輪」というレストランは現在閉店となってましたが、参加者から「こんな場所があったなんて初めて知りました!」という声が次々にあがりました。

 

そして、小さな公園(高輪南町児童遊園)の中心に配置されたつづら折りの木製階段を登りきると、《開東閣(旧岩崎家高輪別邸)》の裏口側に出ます。開東閣は、現在では三菱グループの倶楽部として使われている非公開の建築物です。とても広大な敷地の中にあるため、建物を外側からみることはできませんでしたが、石垣に囲まれ鬱蒼とした大きな木々に覆われた様子からは、重厚な歴史を感じることが出来ました。

 

次に目指したのは、昨年閉館した《原美術館》(渡辺仁設計)です。翌週より解体工事開始の標識を目にし、原美術館への思いを口にしながら、「これが本当の最後だね。見られてよかった」と閉館を惜しみました。隣地にある、しっとりと紫陽花が色づく御殿山庭園の《有時庵》(磯崎新設計)の茶室を見た後は、御殿山の邸宅地から目黒川方面へと下り、大崎駅へと向かいます。

 

目黒川の居木橋を渡ると、1999年竣工の《ゲートシティ大崎》(日建設計)という複合施設が見えてきました。ツインタワーの低層部には、ところどころに、庭園や柱廊、サンクンガーデン等を利用したパブリックスペースが設けられています。ツアーでは、おすすめの休憩スポット等を教えてもらいながら、この開発のメイン空間であろう大規模なアトリウムを上から下からみて回りました。バブル期のゆとりを持つ、当時の南欧風への憧れを実現したこの再開発は、今でも大崎の顔として人々の憩いの場となっていると感じました。

 

今回は、雨降る新緑のしっとりした雰囲気の中で、山の手エリアの起伏に富んだ地形や年月を感じさせる建物が並ぶお屋敷街から、ゴール地点の大崎の大規模複合開発に至るまで、“まちの魅力や歴史”の対比をまさに体感したツアーでした。

 

レポート:西願未里( 社会人サポートスタッフ)