TOUR

【山手線ツアー】大塚ー巣鴨

2021.02.14
https://accesspoint.jp/reports/yamanote-otsuka/

日時:2021年2月14日(日)9:30~12:00

見学場所:《OMO5 星野リゾート》(佐々木達郎、2018年)、《Tree-Ness House》(平田晃久、2017)、《Overlap House》(平田晃久、2018)、《写研ビル》(芦原義信、1971)、《Treform》(西沢立衛、小川晋一、千葉学、2012)、《鈴木信太郎記念館》(1928,1946,1918)など

参加者:10名

ナビゲーター:和田菜穂子

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大塚駅周辺は駅前再開発で綺麗に整備されています。まずは外国人向け・若者向けにオープンした《OMO5星野リゾート》のロビーを見学。その後、古い居酒屋が立ち並ぶエリアを一周し、平田晃久設計の 《Tree-ness house》へ向かいました。1階はアートギャラリーになっていますので、気になる方は午後から行くことをオススメします。私たちのツアーは午前中ですので、この日は残念ながら開いていませんでした。

 

芦原義信設計の《写研ビル》は一見地味な渋いオフィスビルですが、前回の《東京芸術劇場》と比較すると面白いでしょう。クイズで設計者を当てた方はさすがAP会員!個人的にはその近くにある家型の《写研ビル トライアルセンター》が気に入りました。窓枠が鉄のフレームのまま残っており、可愛いレトロビルだと思います。ピンク色の外壁とトリコロールの庇の組み合わせが素敵です。

 

そしていよいよ今回の目玉《鈴木信太郎記念館》へ。フランス文学者の鈴木信太郎が稀覯本を保存するために作った鉄筋コンクリート造の書斎棟が見ものです。これは戦前の1928年に竣工したもので、当時最先端の鉄筋コンクリートに詳しい東京帝国大学の大塚泰に設計を依頼しました。鈴木信太郎にとって貴重な本を守ることが最優先事項でした。書斎棟竣工3年後には結露を気にして2階部分を鉄骨造で増築しています。家族が暮らしていた母屋は戦争で焼けてしまいましたが、鉄筋コンクリート造の書庫だけは残りました。戦後は書斎棟に隣接して母屋を建て替え、その脇に実家の母と暮らすため旧家の和風住宅(書院座敷付き)を移築します。こうして出来上がったのが3棟による住宅です。1970年に信太郎が亡くなると、長男の成文が受け継ぎました。鈴木成文は住居計画学の専門家であり、「51C型」を提案した人物として知られています。成文が描いたスケッチを下に書斎棟2階等を改築し、2010年に亡くなるまで大切に住み続けました。遺族は豊島区に寄贈し、2018年豊島区立鈴木信太郎記念館として開館することになりました。無料で公開していますので、是非ご訪問ください。書斎棟には信太郎自らがデザインしたステンドグラスなどもあり、本当に素晴らしい空間です!!

 

ナビゲーター:和田菜穂子