TOUR

【山手線ツアー】恵比寿ー渋谷

2020.09.13
https://accesspoint.jp/reports/yamanote-ebisu/

日時:2020年9月13日(日)9:00~12:00

見学場所:《恵比寿東公園トイレ》(槇文彦、2020) 、《渋谷区東三丁目公衆トイレ》(田村奈穂、2020)、《恵比寿公園トイレ》(片山正通、2020)、《オクタゴン恵比寿》(高松伸、1990)、《救世軍・恵比寿SAビル》(シーラカンス、2017)、《ヒルサイドテラス》(槇文彦、1969-1998)、《青山製図専門学校》(渡辺誠、1990)など

参加者:8名

ナビゲーター:和田菜穂子

ゲストナビゲーター:亀井靖子(日本大学准教授)


山手線ツアー第6弾は、恵比寿駅から渋谷駅の区間を歩いて、建築巡りをしました。本日は日本大学の亀井先生をゲストに招き、和田先生と亀井先生のお二人から説明をして頂きました。まずは3つの公衆トイレについて。現在、日本財団が渋谷区の協力を得て、公共トイレを新しく作り直す計画を実施しており、「THE TOKYO TOILET」というプロジェクトのもと、様々な建築家が設計を手掛けています。

 

1つ目は、《恵比寿東公園トイレ》(槇文彦、2020) です。公園にはタコの遊具があり、それと対比して、このトイレはイカをイメージして設計されました。屋根の造りが軽やかで、涼しげな印象を受けました。出入り口がいくつかあるため、危険な目に遭っても逃げやすく、24時間監視カメラが作動しているという点でも、安全に配慮されていました。また、一部の壁が磨りガラスになっており、そこから浮かび上がる青と赤の色によって、男性用と女性用の区別が付きやすくなっています。

 

2つ目は、《渋谷区東三丁目公衆トイレ》(田村奈穂、2020)です。狭小で真四角の土地ではないことを上手く利用して、入り口の壁を斜めに配置しているのが特徴です。壁のオレンジ色にも、強烈な印象を受けました。土地柄なのか、タクシーの運転手の方が多く利用されているようでした。

 

3つ目は、《恵比寿公園トイレ》(片山正通、2020)です。壁はコンクリートの打ちっぱなしでありながら木目をつけているため、公園の樹木との調和を意識して設計したように感じました。複数の壁を規則性のない様々な方向に組み合わせているのが特徴で、天井のない高い壁に仕切られただけの通路を抜けると、天井のあるトイレに行き着きます。トイレ内部に間接照明を取り入れているところや、ユニバーサルトイレが大きく造られていることが、前述した2つのトイレとの違いでした。

 

道々には、他にも興味深い建物がありました。《オクタゴン恵比寿》(高松伸、1990)は、その名の通り八角形のビル。窓が丸く、球状のガラスがはめられているのが特徴です。《救世軍・恵比寿SAビル》(シーラカンス、2017)は、植物による緑の壁が爽やかな印象を与える建築でした。

 

次に訪れたのは《ヒルサイドテラス》(槇文彦、1969-1998)です。A~Hの計8棟あり、高さは10メートルほどの低層な建物群。敷地いっぱいに建物を建てるのではなく、屋外空間を設けているのが魅力。施設内を誰もが自由に通り、回遊できることをコンセプトに設計されており、アートギャラリーやレストラン、洋服店等の商業施設部分には多くの人が訪れていました。ヒルサイドテラスの周辺には、デンマークやエジプトの大使館や《蔦屋書店》(クライン・ダイサム共同、2011)もあり、落ち着きのあるとても良い雰囲気の街でした。少し離れたところにある《ヒルサイドウェスト》には槇事務所があります。最後は《青山製図専門学校》(渡辺誠、1990)を外観から眺めました。ポストモダンを代表する建築で、現代にはみられない自由な発想から生まれたデザインです。私はまだ東京に来たばかりですが、1日で恵比寿駅〜渋谷駅区間について詳しくなることができ、そのおかげで建築を通じて街の特色を知ることもできました。

 

学生インターン:舟山織沙(慶應義塾大学法学部1年)