TOUR

早稲田大学(本キャンパス)周辺を巡るツアー

2023.04.30
https://accesspoint.jp/reports/waesda/

日時:2023年4月22日(土)10:00-12:30

見学場所:早稲田大学本キャンパス、早稲田大学喜久井町キャンパスなど

参加者:12名

ナビゲーター:中村竜太(元AP学生インターン)

企画:和田菜穂子


今回のツアーでは、早稲田大学早稲田キャンパスとその周辺の建築を見学しました。ナビゲーターは元AP学生インターンの中村竜太さんです。

 

まず、大隈講堂の外観を観察しました。設計は佐藤功一と佐藤武夫、構造設計は東京タワーを設計した内藤多仲です。左右非対称のデザインであり、これは左右対称で安定している東大の安田講堂とは対照的です。また、キャンパスの軸線とずれています。このようにグリッドからずらしてシンボルを配置することはキャンパス全体の特徴で、中央図書館もそのようになっています。ストックホルム市庁舎を参考にしたと言われており、確かによく似ています。早稲田大学創設者である大隈重信の「人生125歳説」に由来し、高さは125尺になっています。壮大なイメージを持ちながらも厳粛になりすぎず、早大らしい自由さを感じられる建物だと思いました。

 

次に、村上春樹ライブラリーに向かいました。改修設計は隈研吾です。ファサードには曲線が特徴的な装飾が付いています。建物の中に入ると木製ルーバーの曲線でトンネルを表現しています。村上春樹の世界観に入り込んでいく感覚を、トンネルで表現するという発想はシンプルで面白いと思いました。建物内は木の温かみを感じる落ち着いた空間で、北欧家具で統一されたインテリアは洗練されていました。ゆっくり読書をして長時間滞在したくなる心地良さを感じました。

次に、キャンパスに隣接している観音寺に向かいました。石山修武の設計です。伝統的な寺院とは一線を画す造形で、アバンギャルドな印象を受けました。屋根は自由に屈曲していて、雨水が流れる仕組みになっています。石山修武の建築に多く見られる鉄や金属が観音寺にも多用されていました。

 

次は坪内博士記念演劇博物館へ向かいました。設計は今井兼次です。祝日のため残念ながら中に入ることはできませんでした。外観は中世ヨーロッパの建築のように見えました。次に向かったのは中央図書館です。元は野球グラウンドがあった場所で、地図を見るとその形がよくわかります。間口が広く取られています。これは閉鎖的にならず街に開くキャンパスになることを意図しているためです。屋根は早稲田大学のスクールカラーに塗装されており、三角形と両側の傾斜がWのマークを連想させます。早稲田キャンパスでは随所に早稲田カラーとWマークを見ることができます。壁面はスクラッチタイルになっていて、様式や色彩の統一感が演出されていると感じました。

 

次は會津八一記念博物館。設計は今井兼次です。こちらも中に入ることはできませんでした。左右非対称の外観が特徴です。次に向かいにある3号館を見学しました。エントランスに旧館を残したまま、内部で新館と連結しています。

 

以上で早稲田キャンパスを後にし、次は喜久井町キャンパスへ。入江正之が設計した第二研究棟を見学しました。鉄筋コンクリートと鉄で構成されている造形が特徴です。鉄の壁面が一部錆びていたり、バルコニーのような構造物が斜めに突き出ていたりと、ファサードが情緒的に感じられました。そして、ここで内藤記念館に内藤博士像が設置されていることを発見。そのセンス溢れる設置の仕方を見て、皆さん笑顔になりました。

 

最後に、早稲田大学のキャンパスから少し外れて、TNAが設計した《夏目坂の間》へ足を運び、外から拝見しました。コンクリートフレームにガラス張りというモダン建築です。道路拡幅の際に簡易に解体できるようにフレームが組まれています床や屋根のリズミカルな高低差がスケルトン階段で接続されており、開放感あふれるデザインだと思いました。

 

この日は少し風が強かったですが、春らしい穏やかな陽光の中で気持ち良く散策することができました。キャンパス内の統一感がありながらも個性豊かな建物たち、そして開放的なキャンパスと街が一体化したような雰囲気の良さが印象に残りました。

 

学生インターン:村松百歌(慶應義塾大学文学部2年)