日時:2020年8月5日(水) 20:00~21:30
見学場所:シドニー・オペラハウス(オーストラリア)、キャン・リス(スペイン)
ナビゲーター:和田菜穂子
ゲスト:山田新次郎(写真家)
今回のバーチャルツアーでは、デンマークの建築家ヨーン・ウッツォンの代表的な二つの建築物を見ました。
ひとつめは、オーストラリアのシドニー・オペラハウスです。海に浮かぶように建っているオペラハウスの写真は何度も見たことがありましたが、今回初めて建物を近くから撮影した写真を見せていただきました。貝殻が合わさったような形の印象的な屋根は、遠くから見ると白くツルツルとした素材のように見えますが、近づいてみると実は細かいタイル張りになっています。タイルがつくる幾何学的な模様が綺麗です。内部の写真も見せていただきました。劇場の中もさることながら、劇場の外の通路の部分が印象的でした。骨組みの間からは空が見え、大きな窓から海も見える広々とした空間でした。オペラハウスの建築にコストがかかりすぎたため、ウッツォンは完成前に担当から外されてしまったということをお聞きしました。それも頷けるほど、外観・内観ともに凝った設計になっていました。
ふたつめは、ウッツォンの別荘「キャン・リス」です。こちらは写真家の山田新治郎さんが撮影された写真で建物の内外を巡りました。場所はスペインの離島・マヨルカ島です。海と空が綺麗な島で、崖の上にキャン・リスが建っています。オペラハウスより後の作品で、テイストはかなり異なっています。まず外観です。白っぽい石積みの壁が美しく、遺跡のような印象を受けました。この石はウッツォンが自ら切り出してきたものだそうです。計算された美しさを感じさせるオペラハウスとは対照的に、ナチュラルな雰囲気があります。海に面した中庭では、海を見ながら食事をしたり寛いだりできるそうです。そして何より特徴的なのは、大きな窓です。島の崖にある大きな穴をイメージして設計されたということで、家の中から見ると、四角く短いトンネルの先に窓ガラスがはまっているような造りです。まさに、窓というより穴というのがふさわしい形状でした。大きな窓から見える海、細く差し込む太陽の光、床に映る木の影など、家の中からでも自然を感じることができるキャン・リスに魅了されました。
オペラハウスとキャン・リスにはそれぞれ違った美しさがありました。
学生インターン:小関涼々(慶應義塾大学)