TOUR

【ウエケン★たんけん!第2弾】親子けんちくツアー:上野にある美術館のひみつを探ろう

2022.7.31
https://accesspoint.jp/reports/ueken-2/

日時:2022年7月31日(日)10:00~12:00

見学場所:東京文化会館(1971)、国立西洋美術館(1959)、東京都美術館(1975)

参加人数:15人(大人8人、子ども7人)

ナビゲーター:和田菜穂子

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第2回目のウエケンたんけんツアーは、《東京文化会館》(前川國男、1971)からスタートしました。今回のツアーでは、前川國男の建築を巡り、彼の「色のデザイン」に注目しました。

 

東京文化会館の鍵となる色は赤と青。建物のいたるところにこの2つの色がキーカラーとしてあしらわれています。建物の中に入ると、天井の高い開放的なホワイエが広がっており、天井を見上げると深い青色にライトが散りばめられています。こちらは星空をイメージしたデザインです。夜になるとガラスに反射してよりきらきらと輝くのだとか。床は赤茶色、クリーム色、黒色のタイルがランダムに配置されており、公園内の落ち葉をイメージしているそうです。また、建物内部の壁の一部にも外観と同じくゴツゴツした石が貼られており、全体的に統一感がありました。

 

次に向かったのは、東京文化会館の向かいに立つ《国立西洋美術館》(ル・コルビジェ、1951)です。設計したル・コルビュジエは前川國男の師匠にあたります。前庭は改修によって設計時の姿に戻されました。驚いたのは、床に描かれたあみだくじのような黒い線が、実はモデュロールという独自のデザイン寸法を用いており、さらに東京文化会館の窓とリンクしているという点です。これには子どもだけでなく大人からも驚きの声が上がりました。

 

最後のたんけん先は、本日のメインである《東京都美術館》(前川國男、1975)です。東京文化会館とは違い、赤いレンガ風のタイルが特徴的です。ところどころに穴が空いているのは「打ち込みタイル」手法のなごりです。大きな盛り上がりを見せたのは、アートラウンジにある二つの模型の比較です。平成24年の大改修で変更された箇所を、参加者全員で真剣に探しました。アートラウンジでは、北欧のデザイナー フィン・ユールの椅子に座ることができます。

 

次に館内を巡りました。4つのブロックからなる公募展示棟は、壁や階段がそれぞれ赤、青、黄、緑に塗り分けられています。館内に置かれた椅子のクッションの色もこの4色で統一されています。明るく穏やかな雰囲気の休憩スペースで、事前に配布していた質問シートの問題にチャレンジしました。議論に熱が入ったのは「中庭にあるY型の手すりに付けられた名前は?」という質問。「トンビ」が正解でしたが、納得いかないような声がちらほら上がっていたのが微笑ましかったです。トンビの手すりを見に中庭を訪れたところで、本日の「ウエケン☆たんけんツアー」は終了しました。

 

ツアー中、子どもたちが思い思いに感想を言ったり、写真を撮ったりして建築見学を楽しんでいる様子がとても印象的でした。立っているだけで汗が止まらないような猛暑日のなかでしたが、楽しいツアーとなりました。

 

 

和佐木優里奈(学生インターン)

中央大学3年