TOUR

素敵なライフスタイルを:鶴川にある名建築から衣食住を考える

2021.09.26
https://accesspoint.jp/reports/tsurukawa/

日時:2021年9月26日(日)10:00~12:00
見学場所:《TRUSS WALL HOUSE》(牛田英作+キャサリン・フィンドレイ、1993)、《武相荘》(不明)
参加者:7名
ナビゲーター:和田菜穂子
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やや天候が危ぶまれる中でしたが、小田急沿線、町田市鶴川の丘陵地を歩きながら、時代も雰囲気も異なる2軒の建物を訪れました。

 

まず、《TRUSS WALL HOUSE》(牛田英作+キャサリン・フィンドレイ、1993)を見学しました。線路沿いの立地もあり、外から見て長い間気になっていたという参加者の方も多いようです。この建物ははじめ、住宅として建てられましたが、今年7月から、テキスタイルなどを手掛けるtamaki niimeの店舗に生まれ変わり、内部を見られるようになりました。今回は開店前の時間に、普段は非公開のストックルームなども含めて見学させていただきました。

 

 

曲線が多用された特徴的な外観の建物に入ると、こちらも真っ白で丸みを帯びた空間にカラフルな商品が並び、参加者の方から「かわいい」という声が漏れました。店内では、包み込むような壁のくぼみに設置されたソファに座ってみたり、地下2階まで広がる売り場を探検してみたり、ゆったりと過ごすことができます。窓の外にロッククライミングのように地下から地上に上れる仕掛けがあったり、潜水艦のような丸窓があったりと、子供の秘密基地のようなワクワク感もありました。住宅だった頃はユニークな形ゆえに不便も多かったそうですが、不思議と居心地の良い個性的な建物は、心地よさや一点ものの魅力を追求する店のコンセプトや作品とよくマッチしていました。

 

 

続いて《武相荘》を訪れました。こちらは、もともと農家だったものを白洲次郎・正子夫妻が買い取り、過ごした家で、現在はミュージアム・レストランとしてにぎわいを見せています。次郎は主に実業家として、正子は評論家として、第一線で活躍していた白洲夫妻ですが、私生活に関しては昔ながらの農家で、シンプルな暮らしを望んだようです。茅葺き屋根の木造建築の母屋には、白洲夫妻愛用の民芸品の数々や、本で埋め尽くされた書斎の様子などが展示されています。

 

 

ツアーを通して特に印象的だったのが《武相荘》館内に掲示された白洲正子の言葉で、「生活に合わせて作り直しながら住む、無駄のある家が良い」というような内容でした。今回訪れた建物はどちらも、最初とは異なる持ち主に出会い、新しい建物人生を歩んでいます。このように、用途を変えながら長く愛される建物を生み出したモノづくりの力、そしてそれを維持してきた方々の力に触れた半日でした。

 

レポート:山東真由子(学生インターン)
慶應義塾大学医学部5年