TOUR

【山手線ツアー】新宿ー新大久保

2020.11.29
https://accesspoint.jp/reports/shinjuku/

日時:2020年11月29日(日)9:30~12:00

見学場所:《スタジオアルタ》(戸田建設、1980)、《紀伊国屋書店》(前川國男、1964)、《日清食品東京本社ビル》(不明、1988)、《林原第5ビル》(リチャード・ロジャース、1993)、《三経82(旧二番館)ビル》(竹山実、1970)、《三経75(旧一番館)ビル》(竹山実、1969)、《GUNKAN東新宿》(渡邊洋治、1970)

参加者:9名

ナビゲーター:和田菜穂子

 

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休日の朝、山手線の新宿から新大久保の区間を歩きました。

新宿東口の《スタジオアルタ》(戸田建設、1980)前で集合し、普段は人が多く見られない馬水槽など東口広場の見どころを教えていただいた後、《紀伊国屋書店》(前川國男、1964)を見学しました。前川が好んで用いた打ち込みタイルの壁や、上野の東京文化会館を思わせるランダム模様の床、天井や階段、ドアの手摺りの精緻なカーブなど細部にも着目し、「良く来る場所なのに気づかなかった」と驚きの声も上がりました。

 

続いて、歌舞伎町に入り、細い路地に飲食店が連なるゴールデン街や装飾的なビルが多い区役所通りを歩きました。夜になると賑わうイメージの歌舞伎町ですが、日中はあまり人通りもなく、違う街のようでした。花園神社でお参りし、《日清食品東京本社ビル》(不明、1988)では、参加者の方からホールとして賑わった当時の思い出を教えていただきました。

 

雑居ビルやホテルの間を抜けて行くと、ガラス張りの外観が目を引く《林原第5ビル》(リチャード・ロジャース、1993)が現れます。ガラスと金属を使用した四角い上層階と、下層の三角形のアトリウム、コンクリートのコア部分から成る建物で、ガラスや金属の素材をそのまま見せるところは、リチャード・ロジャースが関わったポンピドゥーセンターなどを連想させます。

 

続いてポストモダンの先駆けともなった《三経82(旧二番館)ビル》(竹山実、1970)へ。自己主張が強いにも関わらず、個性的なビルが並ぶ歌舞伎町には不思議と調和しています。通りの反対側には《三経75(旧一番館)ビル》(竹山実、1969)があり、こちらはシンメトリーな正面や大胆な縞模様が特徴です。

 

新大久保駅周辺では、軍艦マンションの愛称で知られる《GUNKAN東新宿》(渡邊洋治、1970)を見学しました。こちらは異端の建築家とも呼ばれた渡邊洋治の作で、屋上に設置された軍艦の甲板のような装飾が特徴です。一人用の集合住宅として建てられ、現在ではオフィスなどにも使用されています。建物の真下から見上げるとコンクリートが剥き出しになった通路なども見え、剛健な印象でした。外壁がミント色に塗り替えられた、など参加者の方から建物の変化についても教えていただきました。今度、屋上見学と合わせてイベントを企画するかもしれない、ということで楽しみです。

 

解説を聞きながら歩くことで、周囲に溶け込んでいた建物が有名建築家の作品だと気づいたり、実物を見ることで写真と印象が変わったりという発見が多かったようです。昼間の歌舞伎町、新大久保の「イケメン通り」など一人では来ないエリアを歩けて新鮮だったという感想も多く、それぞれの街の空気感の違いも感じられるツアーになりました。

 

レポート:山東真由子(学生インターン)

慶應義塾大学医学部4年