LUNCH&TOUR

沼津建築ツアー&ランチ:菊竹清訓の芹沢光治良記念館と沼津倶楽部

2025.10.12
https://accesspoint.jp/reports/numadu/
日時:2025.10.12(日)11:30-16:30

参加者:14名

見学先:沼津市芹沢光治良記念館(設計:菊竹清訓、1970)、沼津倶楽部(設計:渡辺明)、芹沢光治良文学碑(彫刻:向井良吉、設計:大高正人、1963年)、井上靖文学碑(設計:菊竹清訓、1992改修)

ナビゲーター:磯達雄


どうせ沼津に行くのなら、菊竹清訓の建築だけでなく、渡辺明が設計した沼津倶楽部にある登録有形文化財の茶亭にてランチをする、というプチ贅沢なツアーを企画しました!!

 

まず、菊竹清訓が設計した沼津市芹沢光治良記念館(1970年)を見学しました。コンクリート打ち放しの4つの塔が特徴です。マスタースペース/サーバントスペースの考え方に沿っていそうで実は全然そうではないとのこと。そして、最大の見どころの階段室にあるスリットの十字架は、実は安藤忠雄の教会よりも早いデザインなのです。菊竹は芹沢光治良がパリに滞在していたこともあり、中世の教会をイメージして設計しました。

 

芹沢光治良記念館のすぐ近くにある芹沢光治良文学碑(彫刻:向井良吉、設計:大高正人、1963年)は、傷みが激しく、現在は立ち入り禁止になっていて、近づくことができませんでした。

 

昼食は、沼津倶楽部にある登録有形文化財の茶亭にて。京都より移築された三畳台目の茶席、和洋折衷の洋間などで構成され、かなりの贅を尽くした芸術品とも呼べる空間でした。ランチは地元の四季折々の食材を用いた中華コースで舌鼓を打ちました。渡辺明が設計した客室棟はラウンジから外観のみ見させてもらいましたが、客室前には水盤があり、とても優雅な雰囲気でした。なお渡辺明は客室棟だけでなく、二つの茶室をつなぐ改修も行なっています。

 

食後は、風光明媚な千本松公園を散策しながら、井上靖文学碑へ。こちらは1963年にプレキャストコンクリートで造られましたが、劣化したため1992年につくり替えられています。改築も菊竹事務所が担当しているようです。

 

芹沢光治良記念館で見せてもらった、1963年の除幕式の資料を見ると、菊竹が「しょせん人工の碑は、海の猛威にやがて屈服せざるをえまい」と記していて、菊竹も(たぶん大高も)50年ももたいないことをわかってやってたのだろうと磯は推測しています。

 

レポート:和田菜穂子、磯達雄