ONLINE TOUR

★スペシャル企画★ 丹下健三の日南市文化センター

2020.11.1
https://accesspoint.jp/reports/nichinan/

日時:2020年11月1日(月)

見学場所:《日南市文化センター》(丹下健三設計、1962年)

ナビゲーター:磯達雄

ゲストナビゲーター:川越祐子(ひむかヘリテージ機構代表世話人)


なかなかアクセスしづらいところへお連れするのが我々のミッション。今回は宮崎県日南市にある名建築を現地から生中継しました。1962年に竣工した丹下健三が手がけた九州唯一の作品です。宮崎独特の奇岩「鬼の洗濯板」からヒントを得たとも言われ、すべての面が傾斜し、東西南北、どの面も造形が違っています。

 

ツアー開始前に磯からこの建築の概要や見所ポイントのレクチャーがありました。日本を代表するブルータリズム建築として世界的に位置付けられているそうです。また、書家・篠田桃紅とのエピソードなどを織り交ぜながらの解説でした。

 

そしていよいよ川越さんによる現地生中継ツアーです。外周を1周回った後、中庭を経由し、かつての子供の遊び場だった展望室を巡りました。

 

磯が着用しているTシャツをよく見ると、日南市文化センターが描かれています。これはテクノミュージックのレコードジャケットだそうです。現地の方もお揃いのTシャツを着て、ご参加いただきました!

 

いつかリアルツアーを企画して、九州にあるブルータリズム建築を巡りたいと思います。

 

和田菜穂子(東京建築アクセスポイント代表)


《参加者からのご意見・ご感想1》

丹下健三さんの日南文化センターは、バタフライ屋根の形状で、ル・コルビュジエの未完に終わったエラズリズ邸計画(1930年)とアントニン・レーモンドの軽井沢の夏の家(1933年竣工)、並びに、アントニン・レーモンドの霊南坂自邸のコンクリート打ち放し(1924年竣工)とその8年後のル・コルビュジエのスイス学生会館のコンクリート打ち放しへの丹下健三さんのオマージュを感じさせる作品ですね。

また、壁が斜めになっているなど、アントニン・レーモンドさんの聖アンセルモ目黒教会や、床が斜めな高崎音楽センターを彷彿とさせますね。
丹下健三さんをアントニン・レーモンドさんがかわいがっていたことは夙に知られていますが、学生時代から尊敬するル・コルビュジエの記憶と併せて、アントニン・レーモンドさんの記憶を込めたように思います。
1933年から1935年にかけての建築群で日本モダニズム建築の父と一部の建築史家に評価されているアントニン・レーモンドさんの足跡を辿ることが、その後の日本モダニズム建築の意義を明らかにし、日本モダニズム建築物すべての保全活用につながると感じた次第です。
竹内雄一(銀座栄光法律事務所 弁護士)
*レーモンド設計の旧赤星鉄馬邸の保存活用に関わっていらっしゃいます。

《参加者からのご意見・ご感想2》

最初のレクチャーがとてもよかったです。最初はもう少し短くても良いのかなと思って聞いていましたが、あのレクチャーがあったので理解を深めて後半を見ることができました。実際のツアーは、案内人と画像を取る人を分けると、案内人が説明に集中し、画像ももう少しわかりやすく取れるのかもしれませんね。当日案内の方が一部しか建物の中に入れませんでしたが、録画があったので良かったです。

保存の重要性を感じました。素晴らしい建築が使われ続ける、しかも当初のデザインを壊さず使い続けられる、難しい課題ですね。例えばこの建物も、随分と設備関係が当初と変わったと思います。大きなダクトや空調設備があまり建築デザインを考慮されずに置かれていたり、内装が変えられていたり。。。建築家は未来の変化に柔軟に対応できる建築を考えていかないといけないですね。ありがとうございました。

松林牧(BIGニューヨーク勤務)