日時:2020年8月30日(日)9:00~11:30
見学場所:《杉野記念館》(杉野繁一、1938)、《杉野学園衣装博物館》(杉野繁一、1957)、《聖アンセルモ目黒教会》(アントニン・レーモンド、1955)、《土浦家住宅》(土浦亀城、1935)、《伊東建築塾》(伊東豊雄、2013)、《ウェスティンホテル東京》(久米建築事務所、1994)、《ヱビスビール記念館》
参加者:10名
ナビゲーター:和田菜穂子
山手線ツアー第5弾の今回は、目黒駅と恵比寿駅の間を散策しました。まずは恵比寿駅とは逆方向にある、目黒駅からすぐのドレメ通りを歩きました。ドレメとはドレスメーカーの略で、この通り沿いにはファッションデザインを学ぶことのできる学校が立ち並んでいました。大正から昭和にかけ、ファッションデザイナーとして活動した杉野芳子が創設した学校です。杉野芳子は20世紀前半に渡米して洋裁を学び、その頃に出会った建築家の杉野繁一と結婚。夫が建築家ということもあり、ドレメ通りには彼が設計した様々な建物がありました。《杉野記念館》(杉野繁一、1938)は戦災を免れた戦前の建物で、今日でも立派に健在していました。近づいてよく見てみると、1階は西洋風、2階は日本風という和洋折衷の建物であるのが特徴的でした。その1階には、ステンドグラスがはめられた窓や、緑青の銅板屋根が張り出しており、少し目線を上げると、2階の屋根はいわゆる日本風の瓦でできている、というコントラストが興味深いものでした。《杉野学園衣装博物館》(杉野繁一、1957)は、現在はコロナウイルスの影響で開館していませんが、アール・デコ風の建物でした。中央にある縦長のステンドグラスが特徴的です。再び訪れて中の衣装展示もぜひ見てみたいものです。
《聖アンセルモ目黒教会》(アントニン・レーモンド、1955)は、ドレメ通り沿いにあったため立ち寄りました。日曜礼拝時間と重なったため、観光客が内部を見学することは出来ませんでしたが、西日が祭壇に差し込むように窓の配置が工夫されていました。
次に、高級住宅地として知られる長者丸にある《土浦家住宅》(土浦亀城、1935)を外から眺めました。東京都指定有形文化財に指定されており、土浦亀城が自邸として設計した建物です。一見すると木造建築には見えないのですが、乾式構造の木造住宅で、外壁は堅羽目板張り。室内には入ることは叶いませんでしたが、吹き抜けのある明るい空間のようで、モダニズム建築の特徴をよく表しているようです。
住宅街を抜けて続いて行ったのは《伊東建築塾》(伊東豊雄、2013)です。小学生対象のワークショップを開催するなど、建築やまちに対する認識を広めることを目的として利用されている建物です。建物前面すべてに木の引き戸が張られており、広々と開け放つことができる仕組みになっています。
《ウェスティンホテル東京》(久米建築事務所、1994)に到着。まず庭を見学してからロビーに入り、ひと休み。吹き抜けのロビーは開放的で、優雅にカフェでくつろいでいる人たちも多くいました。アフタヌーンティーも人気のようです。
ホテルを出てからは、1994年開業の恵比寿ガーデンプレイスを散策。ここはヱビスビールで有名なサッポロビール工場跡地ということもあり、《ヱビスビール記念館》を見学しました。ラベルデザインの展示、昔使用していた看板やビール樽などを通じて、ヱビスビールの歴史を知ることができました。ビールの試飲もできるようでした。
私がインターンとして初めて参加した山手線ツアー。汗をかきながらじっくりと建築を見て回るのはとても有意義な時間でした。
レポート:舟山織沙 (学生インターン)
慶應義塾大学法学部1年