TOUR

隈研吾設計のM2と内井昭蔵設計の世田谷美術館

2021.11.21
https://accesspoint.jp/reports/m2-setabi/

日時:2021年11月21日(日)9:30〜12:00

見学場所:《M2ビル》(隈研吾、1991)、《世田谷美術館》(内井昭蔵、1986)ほか

参加者:13名

ナビゲーター:和田菜穂子


真ん中にイオニア式の柱頭がそそり立つ奇妙なビル。これは隈研吾の処女作と言われる《M2ビル》です。今回の見学会の目玉です。なんとツアーには元隈事務所の方も参加していました。「隈氏の黒歴史」と言われるあの建築が今どのように使われているのか、参加者は興味津々です。それぞれの思惑でツアーに参加されていたのではないでしょうか。

 

ポストモダンの象徴ともいえるこのビルは、元々はマツダのショールームとして設計されました。現在は葬儀会社メモリードが使っています。驚くほど葬儀場の空間とマッチしています。まるで最初から葬儀場であったかのようです。メインのエントランスホールの正面には廃墟をモチーフにした崩れかけた壁や柱が現れます。ガラス張りのエレベーターホールは近未来を象徴しています。「破壊と創造」がコンセプトということで、車のショールームよりも今の葬祭場の方がぴったりですね。参加者の皆さんと一番盛り上がったのは男子用トイレです。ガラスの壁に向かって用を足す、という斬新なデザインで、上部から水が流れてきます。これもバブル時代の名残ですね。メインの葬儀ホールの天井に付けられた大きな輪っかの照明器具は別として、それ以外はほとんどオリジナルのデザインが残されています。幸せな建物ですね。

 

世田谷美術館に向かう途中、伊東豊雄設計のレストランなどを通りから眺めました。次の目玉は内井昭蔵設計の世田谷美術館です。砧公園の一角にあり、内井の代表作と言われています。三角形と正方形をモチーフにした幾何学的な装飾が多く見られるのが特徴です。というのはその頃内井はフランク・ロイド・ライトの翻訳本を出版しており、ライトが提唱する装飾の意義に共感したからです。水が流れ落ちるサンクンガーデン、美術館のカフェなどを外部からじっくり眺めた後、美術館のロビーで解散しました。その後、自由参加という形で瀬田住宅展示場へ向かい、隈研吾監修の「檜の家」(日本ハウス)を見学しました。

 

レポート:和田菜穂子