日時:2025年11月23日(日)10:30~12:30
見学場所:《国立西洋美術館》(1959年、ル・コルビュジエ)、《東京都美術館》(1975年、前川國男)
参加者:9名(親子4組)
企画:和田菜穂子
今回の建築ツアーでは、子どもたちとともに上野にある国立西洋美術館と東京都美術館の建築を体験的に学ぶことができた。ツアーの中で特に印象的だったのは、子どもたちが建築空間に自ら触れ、座り、確かめることで、言葉や感想が自然と生まれていたことである。ソファや椅子に座った際の座り心地や、壁に触れたときの材質の違いを素直に表現する様子から、体験が学びを促していることが強く感じられた。
私は学芸員資格の講座を受講しており、国立西洋美術館の建築や展示方法について調べる機会が多い。「ゆびさきでめぐる世界遺産―ぐるぐる国立西洋美術館―」も授業で扱ったため、展示が導入されていることは事前に知っていた。しかし、子どもたちがゲーム感覚で模型を楽しんだり、建築構造を理解しようとしたり、積極的に操作する姿を見る中で、この展示方法が子ども向けの教育プログラムとして、とても有効であることを実感することができた。
また、国立西洋美術館のショップ横の壁に描かれたコルビュジエの絵を見て「さっき私たちがいた場所だ」と気付く子どもたちの姿は、視覚的な手がかりが空間理解の再確認につながることを示していた。さらに、モデュロールのポーズを真似する際には、身体を使うことで建築理念を遊び感覚でありながらも、印象的に記憶し、理解できる方法であると感じた。
そして、東京都美術館の改装前後の模型を見比べ、変化した点を自ら探し出そうとする子どもたちの様子からは、観察力を働かせながら建築を読む姿勢が育っていることが感じられた。単に説明を聞くだけではなく、参加者自身が「触る・座る・探す・関わる」といった行為を通して建築を理解することで、ツアーの学習効果を高めていると感じた。
今回のアシスタントとしての経験は、建築ツアーが体験型学習として子どもや大人にとって楽しく学習できる機会であることを実感する機会となった。これからの大学の授業だけでなく、学芸員の授業や自分の専攻である映画、映像の分野でも、今回学んだことを活かしていきたい。
樋口実咲(日本大学芸術学部2年)