TOUR

【夕涼み&ライトアップツアー】 CLT PARK HARUMI と晴海客船ターミナル

2020.09.20
https://accesspoint.jp/reports/clt-harumi/

日時:2020年9月20日(日)15:00~18:00

見学場所:《CLT PARK HARUMI》(隈研吾2019) 、《晴海客船ターミナル》(竹山実、1991)

参加者:8名

ナビゲーター:和田菜穂子


夏も終わりを迎えようとしていた9月下旬、夕涼みツアーと題してCLT PARK HARUMIと晴海客船ターミナルを巡りました。

 

《CLT PARK HARUMI》は新国立競技場や高輪ゲートウェイ駅のデザインで広く知られる建築家の隈研吾がデザイン監修をし、三菱地所グループが開発・設計管理・施工を行った施設です。CLTとはCross Laminated Timberの略で木材を直行するように積層接着した厚型パネルのことを指します。欧州で開発された工法ですが、近年では日本の豊富な森林資源を活用できることから国内の林業振興や地方創生につながることが期待され、国内生産拠点の整備が進んでいます。CLT PARK HARUMIはそのようなCLT材の魅力を発信する拠点で、入り口にそびえるオブジェに限らず施設の壁や床などにもCLTが用いられています。CLTは既存の合板に比べて耐久性能が高く、工場で大量生産できることからも工期の短縮が見込まれる材料ですが、そもそも木材という素材の性質上、建物内に一歩足を踏み入れると木の優しい香りに包まれ、ほっと落ち着くことができる空間を作り出していました。CLTという最新技術のみならず、木材の魅力を再確認できるような場所でした。9月を以て晴海での展示は終わり、10月中旬の解体工事ののち、CLT材の供給元である岡山県真庭市に移設されることが決まっています。

 

次に訪れたのは竹山実設計の《晴海客船ターミナル》です。この施設は世界中のクルーズ船の寄港地として建設されたターミナルですが、東京レインボーブリッジの架橋後は高さ制限の問題から大型客船の寄港はできなくなってしまいました。それに伴い、今年9月に青海にオープンした東京国際クルーズターミナルに機能を移し、その役目を終えて解体されることが決まっています。建物はポストモダンの時代を感じるシンボリックな意匠で、幾何学的な模様や星座のシンボルを模したようなデザインが随所に施されています。中へ入ると天井の高い開放感のあるエントランスホールがあり、赤や青、黄、緑などがアクセントとして用いられていて遊び心のある素敵な空間でした。最上階の展望台は不思議な形状をしたドーム屋根に覆われています。さらに外部の床には多様なパターンのデザインが施されており、視覚的に飽きないユニークな試みがなされていました。テラスからはフジテレビ本社ビルや東京タワーなどが一望できます。夜になるとドームがライトに照らされ、印象的な造形が浮かび上がってみえます。コロナの影響でひと気がなく、解体も決まっていることからどこか寂しげでしたが、ポストモダンを代表する建築として多くの人々の記憶の中に残り続ける名作だと感じました。

学生インターン:近岡 祐音(慶應義塾大学理工学部1年)