TOUR

【中央線ツアー】素敵な高架下空間を歩こう!

2021.07.18
https://accesspoint.jp/reports/chuou-koukashita/

日時:2021年7月18日(日)9:30~11:30

見学場所:《JR中央線武蔵境駅》、《武蔵野プレイス》(kwhgアーキテクツ2011)、《武蔵野ふるさと歴史館》、《中央線高架下プロジェクト》(リライトデペロップメント、2016)、《JR武蔵小金井駅》

参加者:11名

ゲストナビゲーター:岸 佑(国際基督教大学アジア文化研究所/博士(学術))


心地よい快晴の中、「建築空間が街の中にどのように溶け込むか」をテーマに、中央線の武蔵境駅から東小金井駅までを散策しました。講師の岸先生による武蔵野の歴史のお話を伺いながら、武蔵野市の現在までの移り変わりを感じられるようなツアーとなりました。

 

まず《JR中央線武蔵境駅》に集合し、向かったのは駅からほど近い《武蔵野プレイス》(kw+hgアーキテクツ、2011)。平面・立面・断面など至る所に楕円状のモチーフが使われ、丸型のフレームによって木漏れ日がさしているような階段が魅力的な建物です。図書館やカフェ、コワーキングスペース、サウンドスタジオなど様々な用途が組み込まれており、”地域のハブ”のような役割として親子連れをはじめ多様な世代の人々で賑わう施設となっていました。高齢者や子どもの集まれる場所や武蔵野市のPRなど、様々な問題を解決するプログラムとして建てられ、武蔵野プレイスを始めとした施設によって武蔵境駅周辺の街開発が行われてきたそうです。

 

そして中央線の高架下を散策しながら次の目的地へと向かいました。高架下には、カフェなどの店舗や、電車の踏切などが展示されている子どもの遊び場、レンタサイクルなどがあり、地域で暮らす人に寄り添うような空間になっていました。店舗はコンテナを基本とすることで、コストや後期を小さくし店舗の入れ替えを簡単にしているとのことでした。

 

次に向かったのは《都営境五丁目アパート》(1982年)の一部として開設された図書館を改修した《武蔵野ふるさと歴史館》です。こちらでは展示を通して、武蔵野の地域がかつては農業を中心に栄えた地であったこと、第二次世界大戦においては中島飛行機武蔵製作所というゼロ戦エンジンの軍需工場があったことなど、武蔵野のバックグラウンドを学びました。展示されていた地図を見ながら、武蔵製作所からどのように飛行機が運搬されていたかなど、お話を伺いました。

 

高架沿いから少し離れて散策を進め、《JR東日本八王子支社八王子電力技術センター武蔵境変電所》では予期せぬモダンな建築との出会いもありました。武蔵境駅周辺の住宅街は魅力的な建築も多く、緑に馴染んだどこか懐かしい街並みを感じながら歩きました。

 

高架沿いに戻って東小金井駅に近づき、《中央線高架下プロジェクト》(リライトデペロップメント、2016)に向かいました。保育所やクリーニング店など多様な店舗が高架下に並び、道路との境界線上の壁面と細いフレームによって一体感と軽やかさを与えています。元々農地が多く高齢化が進んだこの地域において、町おこしになるような施設となっていました。

 

さらに歩みを進め武蔵小金井駅方面へ向かい、《中央ラインハウス小金井》(北山恒・谷内田章夫・木下道郎、2020)を見学しました。150戸の居室から構成される、カフェテリアやラウンジなどの共有スペースを持ったデザイナーズ学生寮です。2階構造で共通スペースを持つL棟・共有テラスを持つC棟・中央に渡り廊下のような共有空間を持つH棟の違った特徴を持つ3棟で構成され、学生同士が豊かな関わりを持つことができるような空間になっているそうです。

 

最後に《JR東小金井駅》で解散し、各々感想などフィードバックを行いました。武蔵境駅と東小金井駅はそれぞれ違う発展の仕方をしていましたが、その歴史を感じながらいかにして街と人に溶け込むような豊かな空間に発展してきたのか、体験できるツアーとなりました。

 

レポート:長門有紀(学生インターン・慶應義塾大学理工学部3年)