日時:2024年7月6日(土)10:00~12:00
見学場所:蒼梧記念館(1927年竣工)、第一生命相娯園光風亭(旧馬場家烏山別邸、1937年竣工)
参加者:14名
ゲストナビゲーター:堀 雅木(第一生命保険株式会社不動産部部長)、内藤純(清水建設株式会社設計本部業務施設設計部設計長)
企画:和田菜穂子
今回のツアーは改修工事に関わった第一生命の堀氏と清水建設の内藤氏にご案内いただきました。
まずは世田谷美術館キューズガーデン内にあるテニスのクラブハウス内で簡単な概要説明。その後、ランニングコースに沿いながら、ガーデン内を散策しました。ガーデン内には民間の学生寮やマンションが点在しています。コンクリート造のトイレは内藤さんの設計です。
いよいよ《蒼梧記念館》の内部へ。蒼梧記念館は第一生命保険株式会社の創立者 矢野恒太の旧宅です。矢野恒太は1927年(昭和2年)竣工から終戦直後まで、当時田園調布にあったこの建物に居住していましたが、没後は「蒼梧記念館」として保存されてきました。その後、昭和61年に田園調布からこの地へ移築されました。昭和末期の住宅建築、特に日本建築と西洋建築を融合させた和洋折衷様式の代表的な一例として高く評価されています。第⼀⽣命の記念館としてはもちろんのこと、地域の活⽤も視野に⼊れ改修⼯事が行われ、既存の物をできる限り利⽤しながら、価値ある建物として復元されています。
次は吉田鉄郎設計による《旧馬場家烏山別邸》へ。もともとこの周辺は田園が広がるのどかなエリアで、1937年に馬場汽船創業家・馬場氏の烏山別邸が建てられました。鉄筋コンクリート2階建のモダニズム住宅です。1954年に第一生命の福利厚生施設・第一生命グラウンド(相娯園)としてこの一体が整備され、馬場家別邸は「光風亭」と名付けられました。この建物は価値ある保存すべき歴史的建造物としてDOCOMOMO Japanに選出され、東京都歴史的建造物にも指定されました。第一生命は当時の趣を残したまま、地域のみなさまにお使いいただけるように改修工事を行い、1階にコミュニティスペース“Qs Another House”やカフェを設け、地域交流の拠点としました。今回は特別に2階や屋上も見学させていただきました。ガラスブロックが特徴で、エントランスホールに入ると目隠し用に設置されたガラスブロックの壁、階段室に明かりとりとして設けられたガラスブロックの両方によって広々とした空間に感じます。ツアーの最後はカフェで振り返りの会を行いました。今回は堀さん、内藤さんのお二人に丁寧にご案内いただき、実り多いツアーとなりました。
レポート:和田菜穂子