日時:2018年12月1日(土)13:00-16:00
見学場所:【家具メーカーショールーム】フリッツハンセン、Molteni&G、Minotti Aoyama、B&B Italia Tokyo、Knoll【建築】槇文彦《青山スパイラル》(1985)、妹島和代《NATUR & NICOLAI BERGMANN》(2012)、坂倉準三《岡本太郎記念館》(1954)、隈研吾《根津美術館》(2009)、安藤忠雄《コレッツィオーネ》(1989)、山下和正《FROM-1ST》(1975)、ヘルツォーク&ド・ムーロン《プラダブティック青山》(2003)、現代計画研究所《ヨックモック青山本店》(1978)、隈研吾《サニーヒルズ南青山》(2013)、北河原温《K2ビル》(1985)、アルド・ロッシ《浅羽克己デザイン室》(1991)、東孝光《青山のアトリエ》(1983)、谷口吉生《フォーラムビルディング》(2009)、吉村順三《青山タワービル》(1969)
参加者:9名
ナビゲーター:若原一貴
ゲストナビゲーター:玉城嘉康(インターオフィス)
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表参道・青山界隈には著名建築家が手掛けた建物が沢山集中しています。それらを見て回るのも一興ですが、建物だけではなく海外の家具メーカーショールームが軒を連ねているのも表参道・青山界隈の外せない特徴です。今回のツアーでは、その、建物と家具メーカーショールームの両方を見て回りました。建築は東京建築アクセスポイント理事の若原先生、家具は家具専門の商社インターオフィスの玉城嘉康さんによる二重の解説です。通常開催しているツアーでは、目的地がいくつかあってその間を歩くという形が多いですが、今回はフリッツハンセンやMolteni&G、Minotti Aoyama、B&B Italia Tokyo、Knollという有名家具メーカーショールームを目的地としつつ、歩いている途中に在る建物(青山スパイラル・根津美術館・コレッツィオーネ・FROM-1STビル等)の解説も行われた為、いつも以上に満足度が高いツアーだったと思います。
家具メーカーショールームでは、ただ「値段が高い」だけではないメーカーの拘り処・世界観を教えて頂き、建物はどういう経緯でその建物が建ったのか、その建物が出来た事で街がどう変化したか、を教えて頂きました。いい家具・いい建物の良さを沢山教えて頂きましたが、なかでも私が印象に残ったのはMinotti AoyamaショールームとFROM-1STビルです。
イタリアの家具メーカー“Minotti”社の特徴として挙げられるのは、価格に沿ったきちんとしたデザイン・作り方をしていて、世界観がショールームにしっかり作られている事だと玉城さんは述べます。作りで言えば、例えば革張りソファのエッジがダマになる事無くきちんとカーブしていて、虫刺されの跡も有刺鉄線の跡もない綺麗な一枚の革で仕上げられている事で、そこからは牛の飼育状況とメーカー・革屋さんの信頼関係が伺えます。また、国際家具見本市のミラノサローネでは毎年今年の空間・世界観を発表しているそうです。そんな、家具の作りに対する姿勢とメーカーとしての世界観。両方をしっかりとショールームで教えて頂きました。
FROM-1STビルは建築家・山下和正の設計により1975年に建てられたテナントビルで、周囲には様々なブティックが立ち並びます。造りとしては5層分の吹き抜けを中心として店舗が並ぶというテナントも利用者も使いやすい造り。当時としてはそのような吹き抜けの大空間を持った商業施設が日本でまだ珍しかった為、このビルを起爆剤として周囲にブティックが集まった。という若原先生の解説に、建物が街を造る起爆剤になり得るのだと改めて認識する事が出来ました。
建物も家具も「個」を見るだけではなく、「なぜそうなのか」を知る事でもっと理解が深まる。そんな事を改めて感じる事が出来たツアーでした。
レポート:阿久根 直子(学生インターン)
桑沢デザイン研究所 デザイン専攻科2年