日時:2019年11月3日(土) 9:30-17:00
見学場所:《江ノ浦測候所》杉本博司(2017)
参加者:7名
ナビゲーター:和田菜穂子
杉本博司設計の江ノ浦測候所は、穏やかな水平線が広がるロケーションに位置し、建築自体も素材の特性を活かしたミニマムで美しい建築です。杉本はそのコンセプトに「悠久の昔、古代人が意識を持ってまずした事は、天空のうちにある自身の場を確認する作業であった。そしてそれがアートの起源でもあった 」と述べています。実際に行ってみると、彼がずっと撮影し続けている《海景》がリアルに眼前に現れます。私はヨーン・ウッツォン設計のマヨルカ島の自邸<キャン・リス>で類似の体験をしたことを思い出しました。その日の《海景》は曇りのため空と海の色がグレーのグラデーションで、水平線がぼんやりとしてあいまいでしたが・・・
また《舞台》についても思いを巡らせました。文字通り「舞いのための台」。海に向かって神に捧げる舞いを踊りたくなるような何か得体の知れないパワーや、一般人が足を踏み入れることを拒む神域のようなものを感じました。江の浦測候所には《石舞台》と《光学硝子舞台》の二つの舞台があり、《光学硝子舞台》には人は上がれません。なお見学当日は、舞台の上ではありませんでしたが、ティノ・セーガルによるパフォーマンスもありました!
十分に海と空を満喫した後、小田原にある重要文化財のだるまにてランチをとりました。建物の案内はお店のご主人にしてしていただきました。
次に遠藤新が設計した旧近藤邸を見学しました。現在は藤沢市の市民会館の庭に移築されています。フランク・ロイド・ライトの弟子、遠藤が1925年に藤沢の辻堂海岸に建てた別荘です。師ライトの教えを受け、水平線を強調したプレーリースタイルのデザインです。
建築、アート、自然、食などを楽しむ1日となりました。また改めて季節を変え、時間を変え、再訪したいと思います。
ナビゲーター:和田菜穂子