TOUR

【山手線ツアー】品川駅ー大崎駅#1

2020.07.05
https://accesspoint.jp/reports/%e5%b1%b1%e6%89%8b%e7%b7%9a%e3%83%84%e3%82%a2%e3%83%bc%ef%bc%9a%e5%93%81%e5%b7%9d%e9%a7%85%e3%83%bc%e5%a4%a7%e5%b4%8e%e9%a7%85%ef%bc%83%ef%bc%91/

日時:2020年7月5日(日)9 :30~11:30

見学場所:《品川インターシティ》(1998、日本設計・大林組)、《有時庵》(1992、磯崎新)、《原美術館(旧原邸)》(1938、渡辺仁)、《ゲートシティ大崎》(1999、日建設計) ほか

参加者:10名

ナビゲーター:和田菜穂子


山手線の各駅間を歩きながら、道中の建築をめぐる山手線ツアー。今回は品川駅から大崎駅です。品川駅を港南口から出発しました。港南口は、かつては工場や倉庫が広がるだけの荒涼とした地域でしたが、現在ではスタイリッシュなオフィス街・マンション街へと変貌を遂げています。そんな品川駅港南口の顔とも言える《品川インターシティ》から見ていきます。品川インターシティは1998年に竣工した大型の複合施設で、オフィスビル、ショッピングエリア、ホール棟からなっています。それぞれの建物は2階部分にあるペデストリアンデッキ「スカイウェイ」で連絡していて、雨の日でも濡れずに目的地まで行くことができます。品川インターシティで特筆すべきは、南側の品川グランドコモンズとの間にある緑地空間、品川セントラルガーデンでしょう。ガラスとコンクリートのビルたちに挟まれた緑地空間は、「現代における新しい緑地」という印象を受けました。また、後述するゲートシティ大崎との差異にも注目です。

 

続いて御殿山庭園・有時庵へと足を進めます。途中には、映画『シン・ゴジラ』で破壊された《都営北品川アパート》や開かずの踏切「八ツ山橋踏切」、《開東閣》などが見られました。もっとも、現在三菱グループの倶楽部として使用されている開東閣は一般公開されておらず、周囲も鬱蒼とした木々に囲われているため、建物自体は見えませんでしたが…。御殿山庭園に到着しました。御殿山公園には、磯崎新設計の《有時庵》があります。これは楕円形の現代茶室です。今回は残念ながら中に入ることはできませんでしたが、木々に囲まれた建物からはとても厳かな印象を受けました。公園に隣接する《原美術館》は、現代アートを中心とした私立美術館です。建物の設計は渡辺仁で、もともとは実業家・原邦造の私邸として建てられました。しかし残念ながら、2020年12月をもって閉館とのことです。

 

次に大崎駅へ向かいます。御殿山の高級住宅街を抜けると、途端に高層ビルが見えてきます。どこか品川駅周辺と似たような印象も受けました。1999年竣工の《ゲートシティ大崎》は大崎駅に隣接する複合施設ですが、品川駅の《品川インターシティ》とはまた違った印象を受けます。全体的に、暖色を基調とした古典的な西洋風のデザインとなっています。しかし、大崎駅まではペデストリアンデッキで連絡されており、品川インターシティとの共通点も見出せます。人工的な建物と自然の緑、現代的なビル群と閑静な住宅街、品川インターシティとゲートシティ大崎…様々な対比が魅力的なツアーでした。今後の山手線ツアーも見逃せません。

 

学生インターン:鹿野友菜(慶應義塾大学文学部3年)


 

今回は山手線ツアーの第二弾ということで、品川駅から大崎駅にかけて見どころの建築を巡りました。スタート地点である品川駅には二つの出口がありますが、今回は品川プリンスホテルでおなじみの高輪口からではなく、再開発のすすむ港南口からスタートしました。駅を出てまず目に飛び込んできたのは、近代的なガラスのファサードを纏った《品川インターシティ》(1998、日本設計・大林組)のビルです。品川インターシティは商業施設やオフィスなどの入ったいくつかの建物から成る複合施設であり、駅からそれらの建物には屋根のついたペデストリアンデッキによってスムーズに移動することができます。ビルとビルの合間の巨大な広場には沢山の木が植えられており視覚的な安らぎが得られるほか、下に降りてみると木々の間を通り抜ける風が心地よく、ジメジメとした夏の暑さを和らげてくれました。さらに進むと《都営北品川アパートメント》などの再開発以前からの建物が残っているエリアもあり、新旧の建物の対比が印象的でした。

 

《開東閣(旧岩崎家高輪別邸)》の石垣を横目に歩いていくと見えてくるのが《東京マリオットホテル》です。全体として落ち着いた上品な色合いで、隣接する《キリスト品川協会》のレンガとの親和性も見られます。続いて、今回の目玉である《原美術館(旧原邸)》(1938、渡辺仁)および《有時庵》(1992、磯崎新)を訪れました。渡辺仁は銀座の和光本館や東京国立博物館なども手掛けた日本の初期モダニズムの建築家です。原美術館は懐古的な趣味の良い素敵な建物で、前庭にはアート作品も設置されており、こじんまりとしながらも独特の世界観を醸し出していました。今年の12月をもって閉館してしまうそうなので、ぜひその前にまた訪れたいと思います。《有時庵》は建物にあまり近づくことができなかったのが残念ですが、緑に囲まれてひっそりと佇むその姿は不思議と惹かれるものがありました。

 

最後に訪れたのは《ゲートシティ大崎》(1999、日建設計)です。一番初めに見た《品川インターシティ》とほぼ同時期に竣工された建物ですが、コンセプトは対照的で、西洋風のアーチや柱廊といったモチーフが随所に施されています。また、五層吹き抜けの大胆なアトリウムや南仏をイメージしたサンクンガーデンなど、バブル崩壊前の面影を残すような豪華絢爛な箇所もあり、建物内を巡るだけでもとても楽しい空間でした。

 

大崎駅とは品川駅と同様にペデストリアンデッキで繋がっています。品川、大崎それぞれの再開発エリアにおける共通点、相違点を身をもって体感し、比較することができたのはとても良い経験になったと感じました。

 

学生インターン:近岡祐音(慶應義塾大学理工学部1年)