日時:2016年12月23日(金)18:00~20:00
トーク場所:蔦珈琲店(旧山田守自邸)
参加者:10名
ナビゲーター:磯達雄
ゲストスピーカー:山田新治郎
企画:和田菜穂子
日本近代建築家の山田守(1894-1966)は、日本武道館、京都タワーなどを手掛けた建築家として知られています。青山にある彼の自邸(1959年)は、現在は「蔦珈琲店」「蔦ギャラリー」として引き継がれています。山田守の孫にあたる写真家の山田新治郎氏を囲みながら、美味しい珈琲を飲みつつ、皆さんと一緒に山田守建築の魅力について語り合う、少人数制の茶話会を開催しました。
かつてピロティだった場所は今は珈琲店として開業されており、夜になると庭がライトアップされます。美味しい珈琲を飲みつつ、磯達雄が聞き手となり、山田新治郎氏から様々なエピソードをお伺いしました。「ウルトラマンvsバルタン星人」に関するユニークな見解もありました。例えば「ウルトラマン」=つるっとした「モダニズム」だとすると、「バルタン星人」=垂直性のある「ゴシック」と例え、山田建築の両義性を唱える磯。ウルトラマンのロケ地は山田守が設計した長沢浄水場です。
また、新治郎氏から山田守の意外な一面も聞けました。一般的には「豪快で闊達な人」というイメージが定着していたようですが、句集や妻へ宛てた手紙をまとめた本をみると「繊細である一面」が垣間見れます。
個人的に気になった一句。「夢多きままに老いゆく初詣 まもる」昭和41年6月13日没。
本企画は銀座ニコンサロンで開催された山田新治郎写真展「ある建築家のかたち」とのコラボレーション企画です。新治郎氏は1989年より山田守建築の写真を撮り続けており、写真展では今は滅失してしまった建築も含め、山田氏によってフレーミングされた山田守建築の多様な姿を見ることができました。新治郎氏はドイツ・デュッセルドルフで過ごしたこともあり、「ベッヒャー派」的に建築を捉えている面もありつつ、「トーマス・ルフ」的に建築のある部分を絵画的もしくは詩的に表現しているもの、または都市の景観を背景に建物との相関関係を俯瞰している写真などが展示され、複眼的な構成となっていました。
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山田新治郎写真展 「ある建築家のかたち」
展覧会:2016年12月21日(水)〜12月29日(木)
展覧会会場:銀座ニコンサロン
山田新治郎プロフィール
写真家
1969年 東京生まれ。東京工芸大学短期学部卒業。写真家 村井修氏に師事。ドイツに3年間滞在、スタジオ村井を経て、2003年よりフリーランスとして建築写真を中心に活動。