日時:2017年7月30日(日)14:00〜17:00
見学場所:吉田五十八「猪股邸と庭園」(内部を見学)/ 鈴木了二「物質試行10、11」、隈研吾「成城木下病院」、岡田哲史「成城の家」、渡辺明「成城の家」、吉田五十八「猪股邸と庭園」、室伏次郎「成城の家」、吉阪隆正「樋口邸」、篠原一男「成城の家」、磯崎新「横尾忠則アトリエ」、竹山聖「House in Seijo」、安藤忠雄「伊藤邸」、横河健「Seijo 6」(外観から見学)
参加者:12名
ナビゲーター:若原一貴
APサポーター:柏木裕幸
成城といえば都内でも有数の高級住宅地として知られています。瀟洒な住宅が立ち並ぶ閑静な住宅を巡る「住宅散歩」を行いました。コースは建築家が設計した1960年代以降の様々なタイプの住宅を選りすぐりました。かんかん照りの晴天ではなく、しっとりした曇り空で、住宅散歩にはぴったりのお天気でした。
一般公開している猪股邸(1967年)に関しては、邸宅内部と庭園や茶室を見学しました。設計者の吉田五十八は1930年代から独自に数寄屋造の住宅の近代化を推し進めた建築家です。「吉田流の和風建築」を確立させ、「新興数寄屋の名手」として知られるようになりました。この住宅を設計した頃は70歳を越え、円熟した巨匠のディテールを堪能することができました。家具、照明、建具など、一つ一つにこだわりのあるデザイン、計算されたデザインに直に触れると、その洗練された調和美に心が自然と落ち着きました。
それ以外で印象に残ったのは、吉阪隆正設計の樋口邸(1966年)です。成城の住宅地のヘリの崖地にありました。そこだけがぽっかりとタイムスリップしたような雰囲気をまとっています。コンクリートむき出しの肌合いが時代の経過をいい具合に醸し出しており、さらに上を見上げると苔むした勾配屋根が周囲の緑と一体化しています。敷地に合わせ、細く急な坂道に沿って建てられています。参加者のみなさんからも「おお〜っ」というどよめきが湧きました。
次の成城の住宅散歩は、線路の反対側のエリアを巡りたいと企画しています。
レポート:和田菜穂子