日時:2017年2月4日(土)13:00~17:30
見学先:斐醴祈(ルボア平喜)、和泉の扉(ラポルタ和泉)、舞都和亜(マインド和亜)、無量寿舞(向台老人ホーム)
参加者:15名
スペシャルゲスト:梵寿綱(建築家)
ナビゲーター:和田菜穂子
異色の建築家梵寿綱が設計した建築を巡るツアーです。彼が目指したユートピアは、芸術家とのコラボレーションによって実現しています。夢想的、妄想的ともいえる建築空間は、都市の狭間や郊外のはずれに、現実のものとなって出現しました。
今日のツアーの趣旨は「梵寿綱の建築思想を知る」です。単なる奇想天外な建築ではない、深い建築哲学に裏打ちされた芸術造形活動の現れである、ということを知ってもらうことを目的に企画しました。
最初に池袋と代田橋の集合住宅を巡りました。なにより梵氏ご本人にマインド和亜をご案内していただいたのが一番でした。アーティストとの協働がどのように行われたのかなど、参加者にとっては普通なら知り得ない話を聞けるよい機会だったと思います。梵氏との信頼関係と、芸術家の熱意によって、想像をはるかに超えた空間が実現となったわけです。誰にでも出来ることではありません。梵さんがオーケストラの指揮者になり、建築という協奏曲を奏でているのです。いいえ、ジャズのセッションともいえる芸術家同志のインプロビゼーションなのでしょう。
その後、東大和市の向台老人ホームを訪ねました。生きる歓びに満ちた芸術溢れる老人施設は、今までにない概念が注目を集め、テレビや雑誌で紹介されました。全国からはるばる視察に訪ねる人が後を絶ちません。今回のツアーでは施設の担当者に特別にお願いし、内部を案内してもらいました。希望に満ちた愛情溢れる建築です。私も老後はここで暮らしたい!と思いました。「死は怖くないし、輪廻転生だ」と体感できる建築でした。
「夢と現実」「生と死」、それらは表裏一体です。梵の建築はそれらが混在した、ボーダーレスな両義的空間といえるでしょう。
レポート:和田菜穂子