日時:2017年7月11日(火)9:40〜15:00
見学場所:旧細川侯爵邸(現・和敬塾本館)、旧鳩山邸(現・鳩山会館)、東京カテドラル聖マリア大聖堂
参加者:9名
ナビゲーター:和田菜穂子
昭和11年(1936)に建設された旧細川侯爵邸(現・和敬塾本館)と、大正13年(1924)に建設された旧鳩山邸(現・鳩山会館)を巡り、ふたつの洋館建築を比較しました。どちらも1階はゲストを迎える空間、2階は家族の居室などプライベート空間です。旧細川邸の設計は大森茂(1894-1934)。主な作品として明治大学旧記念館(現存せず)、興風会館(1929)があります。旧鳩山邸の設計者は岡田信一郎(1883-1932)。主な作品は黒田記念館(1928)、東京藝術大学陳列館(1929)、明治生命館(1934)などです。
ふたつの洋館を巡った後、みなさんと意見交換を行い、いくつかの面白い点が挙げられました。例えば政財界の変動や世の中の動向が、竣工年の違いとして建築に現れている点です。旧鳩山邸はリベラルな政党を目指し立ち上げた自由党の実質的な本拠地だったこともあり、明るく開放的な印象を持ちました。その12年後に建設された旧細川邸は私邸が狙われるクーデター事件を恐れ、随所に厳重な防犯設備が見られました。(1932年5.15事件、1936年2.26事件)
しかしどちらも公と私の空間を使い分け、和洋折衷の生活様式を空間に織り交ぜています。豪華絢爛な社交場としての応接室、ゲストルームなどは、今見ても華やかな雰囲気を纏っています。装飾や素材にこだわった最高級のインテリア、職人のこだわりによる巧みな建築意匠、建築家が挑んだ最新の建築技術など、当時の先駆的な試みが邸宅の随所に現れていました。
洋館巡りは今後も続けていきたいと思います。オトノハカフェのランチも大好評でした!ツアー後はオプションとして、丹下健三設計の東京カテドラル大聖堂(1964)に立ち寄りました。
レポート:和田菜穂子