日時:2017年12月16日(土)9:30~12:00
見学場所:日本音楽高等学校1号館(旧池田菊苗邸)、旧三井文庫第二書庫、行慶寺、戸越八幡神社、品川バプテスト教会
参加者:28名
ナビゲーター:倉方俊輔、若原一貴、和田菜穂子
主催:品川区
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学生インターンの中村竜太です。品川区主催のこども文化財散策ツアー「まちのお宝を発見しよう!」にナビゲーターのアシスタントとして参加させていただき、品川区内6か所のすまいるスクール(小学生が放課後・土曜日・夏休みなどに活動する施設)のこどもたちとともに自分たちのまちに残る貴重な文化財を見学しながら歩きました。この日は天気もよく、こどもたちは元気にまち歩きをし、真剣にメモをとりながらナビゲーターの説明を聞いていました。
まずは、《日本音楽高等学校1号館 旧池田菊苗邸》(1925)を見学しました。池田菊苗は、もとは東京帝国大学教授であり「味の素」に代表されるうま味成分の発見者です。木造住宅がまだ多かった時代、東京郊外に建てられた最新鋭の技術である鉄筋コンクリート造の住宅は、大変人目を引いたことでしょう。こどもたちは現在の自分たちが住んでいる家と比べながら、様々な発見をしていました。
文庫の森付近一帯は、かつて三井家(三井財閥)が所有しており、別邸・三井農園などが建てられていました。そのなかのひとつ、三井文庫の《旧三井文庫第二書庫》(1922)には、江戸時代以来の商いに関する資料などが保管されていました。建築当初から防火性に優れた建物でしたが、関東大震災後窓の一部をつぶして壁にするなど、より一層の防火に配慮した改築を行っています。さらに、外装のタイルやその目地などは当時の職人の技が見えます。
《行慶寺》ではご本尊様が阿弥陀如来であり、その両脇に観音菩薩・勢至菩薩が配置されていること、さらに太平洋戦争でご本尊以外のお寺のすべてが焼けてしまったことを、こどもたちは学んでいました。《戸越八幡神社》では、江戸時代末に建てられた本殿に納められた古くからの絵馬を見学したり、お寺と神社の違いなどを学んだりしました。
最後に、《品川バプテスト教会》を見学しました。この建物は吉原正が設計したプロテスタントの教会です。内部は左右対称を崩すことで教壇の横の壁をずらし、光を取り込むようにしています。角部の壁に曲面を用いることで、やわらかな光を作り出しています。イメージしていた教会との違いを考えつつ、こどもたちなりに建物の面白さを見つけられたようです。
普段は大人向けのツアーが多い東京アクセスポイントですが、今後は小学生などを対象に建築の魅力を感じてもらう企画をしていくようなので、僕自身も積極的に関わっていきたいと思いました。
レポート:中村 竜太
早稲田大学 創造理工学部 建築学科3年