日時:2018年7月21日(日)11:30~13:30(午前の部)、 15:00~17:00(午後の部)
開催場所:さいたまスーパーアリーナ TOIRO(2000年、日建設計)
参加者:親子 計39組
企画:和田菜緒子 / 企画・運営サポート:中村竜太、阿久根直子、渡辺頼子、顔欣、三上佳祐
主催:さいたまスーパーアリーナ
協力:日建設計
*****
さいたまスーパーアリーナのTOIROにて開催された子供向け夏休みワークショップ「メガストラクチャーを作ろう!」の1日目の企画として「さいたまスーパーアリーナを作ろう!」を開催しました。さいたまスーパーアリーナの構造を学ぶ、体験型のワークショップ&見学会です。普段は行けないさいたまスーパーアリーナの屋上や裏側の見学をして構造の勉強をした後に、実際に構造模型を作ることで理解してもらえるようなワークショップを目指しました。
さいたまスーパーアリーナの構造模型を子供たちに作ってもらうのは初めての試みでしたので、まずはどのような模型を作ってもらうかを検討することから始めました。さいたまスーパーアリーナの構造的特徴は、2本の巨大な「ハイパーカラム」という柱と半円形のRC造耐震壁によって大屋根を支えていること、ハイパーカラム間は「張弦キールガーター」という仕組みで大屋根がたるまないようにしていること、そしてこれらの構造的工夫のもと獲得した大空間の中に「ムービングブロック」という客席を動かす機構を設けることで用途に合わせて競技場の大きさを変えられるようにしたことがあげられます。このような構造的な要素を子供たちに理解してもらう、かつ、限られた時間内で作れるような模型であることが求められました。何個もスタディ模型を作り、スタッフたちで議論しながら検討を重ねました。また、試作品を、日建設計でさいたまスーパーアリーナを実際に担当した方々にプレゼンテーションをし、フィードバックを得ることもおこないました。
当日はたくさんの子供たちとお父さんお母さんが参加してくださり、楽しんで作ってくれていたのがとても嬉しかったです。また、見学と模型制作を合わせて2時間という制限の中、たくさんの子が時間内に完成してくれたのを見てホッとしました。さいたまスーパーアリーナという巨大なスケールのものだとただ見るだけでは理解しきれないものですが、見学と模型制作を一緒におこなうことで、「さっき見たあの大きな柱は全体の中ではこういう役割をしているんだ」という理解につながったようです。
今回、企画段階から関わったことで、建築という少しわかりづらいものをどうやったら理解してもらえるのか検討するという経験をすることができました。建築というものは、さもすると、同じ畑にいる人しか理解できなくなってしまう可能性を孕む分野ですが、それをいかにわかってもらえるようにするかを思考するトレーニングになりました。このワークショップに参加した子供たちが今度、街中で建物を目にしたときに「これはどういう構造をしているから建っているんだろう?」と考えてもらえたら嬉しいです。
レポート:中村 竜太(学生インターン)
早稲田大学大学院 創造理工学研究科 建築学専攻1年