日時:2019年6月22日(土)10:00~12:00
見学場所:《北品川アパート》、《かね清》、《品川浦船溜まり》、《旧東海道》、《善福寺》、《法善寺》、《煉瓦塀》、《旧交番》、《品川宿交流館》、《海徳寺》、《昭和ネオン》、《日本茶カフェ茶箱》
参加者:20名
ナビゲーター:倉方俊輔
共同主催:しながわ観光協会
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品川宿を巡る建築散歩ツアーが、倉方俊輔先生のナビゲートによって行われました。小雨の下、出発は北品川駅から。従来、駅は市街から離れていたため、「北品川駅」という名称の方位基準となっているのは、品川宿であることから解説は始まりました。
《北品川アパート》はバスの駐車場と集合住宅という二つの異なる機能を融合させていて、目を引きます。向かい側には《かね清》があり、木造に銅板を組み合わせた建築は関東大震災の影響による当時の防火の工夫との事でした。《品川浦船溜まり》にある橋の親柱は大正らしいデザインで、また鉄筋コンクリートによる耐火構造です。当時の建築が残る背後に高層ビルが立ち並ぶ様は、品川ならではの不思議な風景でした。
そして《旧東海道》を通り、《善福寺》では伊豆長八が描いた龍の鏝絵を見ました。短時間で固まる漆喰の上に絵を描くには熟練の技が必要です。商売の町・品川宿の信心の支えにより、このような当時の最先端のものを作ることができました。《法善寺》では、明治から大正の短期間だけ活躍した煉瓦職人たちの技巧を確認しました。木造との組み合わせは、当時の独特な文化です。《法善寺》はイギリス積み、付近にあった煉瓦塀はフランス積みと二種類の様式を見ました。
その後は看板建築を数件見てまわりました。看板建築とは和洋折衷の庶民建築です。目黒川付近の《旧交番》は角隅にあり、可愛らしい佇まいと、交番らしい玄関アーチの格式とを併せ持っていました。《品川宿交流館》で休憩を入れました。昔婦人服店であったため、階段の手すりは装飾が華やかでした。現在は一階で駄菓子が売られており、二階では資料の展示が行われています。《海徳寺》では、小ぶりの蔵に注目しました。《昭和ネオン》は丸いアルミサッシの外観が特徴的で、看板のデザインやフォントはまさに昭和を感じさせるものです。中にある高村看板ミュージアムでは、江戸・明治〜大正の手作りの看板を見ることができます。
最後は《日本茶カフェ茶箱》で、町家とモダンな内装を楽しみました。いただいたお茶は、昔駅弁に付属していたお茶の容器に入っていました。ツアー参加者の皆様からは「懐かしい」という声が聞こえ、時代を一気にワープしたような体験でした。
レポート:毛利未来(学生インターン)
慶應義塾大学理工学部2年