日時:2019年5月6日(月)10:00-12:30
見学場所:丹下健三≪国立代々木競技場≫(1964)、丹下健三≪東京カテドラル聖マリア大聖堂(カトリック関口教会)≫(1964)
参加者:6名
ナビゲーター:和田菜穂子、山木茂
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丹下健三の代表作2か所をめぐるツアーでした。
≪国立代々木競技場≫(1964)は耐震工事のため内部には入れませんでしたが、外観を見ながら図面をもとに山木先生が構造の説明をしてくださりました。第一体育館は二本のコンクリート柱の間をワイヤーで繋ぎ、両端からさらにワイヤーで引っ張る吊橋のような構造で、中央のワイヤーからは左右にスチール製の屋根が伸びています。この屋根は当初ワイヤーを張って造る予定でしたが、理想的な形にならなかったため鉄骨に変更したとのことで、美しいカーブを実現させるために工夫が凝らされたことがわかりました。屋根の両端の柱と緩やかなカーブを描いた屋根はお寺の建築と似ているともいわれ、日本的なものを意識した造りになっています。一方第二体育館は支柱が一本しかなく、その周りに螺旋状にワイヤーが吊られ、スチール製の屋根が張られています。平面図を見ると原宿・渋谷の両駅から大量の観客が出入りできるよう動線が考えられていること、形としても美しい螺旋形になっていることがわかり、都市計画を専門としていた丹下の俯瞰的な視線を大切にする姿勢が見て取れました。
≪東京カテドラル聖マリア大聖堂(カトリック関口教会)≫(1964)は代々木競技場と同時代の建物で、同じくコンクリートですが、細い直線型の板を少しずつずらして作った曲面であるHPシェルと呼ばれる構造です。上から見ると十字型になっており、代々木競技場同様、上空からの見え方を考えて設計されていることがわかります。実際に聖堂に入り、コンクリート建築ならではのパイプオルガンの響きを楽しむこともできました。
参加者の方は初めての方からリピーターの方までいらっしゃり、一人だと入りにくい建物に入れてよかった、既に知っていた建物でも見方が変わったという声や、丹下健三の挑戦の精神を知ることができたというような感想をいただきました。丹下の他の建築物を利用したことがある参加者の方からは、利用者としての意見も伺うことができました。
レポート:山東真由子(学生インターン)
慶應義塾大学医学部3年