日時:2019年2月2日(土)10:00~13:30
見学場所:Ginza Sony Park(2018)、《泰明小学校》(1929)、《電通銀座ビル》(横河工務所/1934)、《丸嘉ビル》(森山松之助/1929)、《豊岩稲荷神社》、《銀座グリーンビル》、≪ニコラス・G・ハイエックセンター≫(坂茂/2007)、≪GINZA SIX≫(谷口建築設計研究所/2017)、《銀座和光本館》(渡辺仁/1932)
参加者:18名
ナビゲーター:倉方俊輔
主催:『ノジュール』(JTBパブリッシング)
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今回のツアーは、雑誌『ノジュール』(JTBパブリッシング)で倉方先生が案内役を務めた記事「ギンザ建築散歩」の連携企画として開催されました。
朝10時、Ginza Sony Park地下2階に参加の皆様方が集合。1964年完成の西銀座駐車場の前を通って最初に向かったのは、関東大震災後の1929年につくられた≪泰明小学校≫です。数寄屋橋の歴史を聞きながら、豪華客船を思わせる姿など、この小学校の端々に伺えるアール・デコ様式の魅力を堪能しました。次は戦前のオフィスビル≪電通銀座ビル≫(1934年竣工)へ。先ほどの≪泰明小学校≫は、耐震・耐火に優れた鉄筋コンクリート造を用い、そこにアール・デコ様式をまとわせたものでした。同じアール・デコ様式は、こちらの≪電通銀座ビル≫にも。その上で日本的なモチーフで玄関の上部をデザインするといったビルの独自性が見受けられます。
その後に訪ねた≪丸嘉ビル≫は≪泰明小学校≫と同じ1929年の竣工です。2004年に改装が行われたため、一見すると歴史あるビルに見えないかもしれませんが、スペイン瓦や壁面の装飾など、見るべきポイントを倉方先生に解説してもらう事で、一気に昭和初めの気分になりました。
ここで一行は小さな路地に入りました。そこにあるのは江戸初期から火防神・縁結神として信仰を集める≪豊岩稲荷神社≫です。表通りには鳥居も何もなく標識だけが建っているという、ビルとビルの隙間にある小さな神社でした。見学後はそのまま神社の前の路地を進んでいきます。途中≪銀座グリーンビル≫内のカフェを通り抜け、やっと表通りに出たと思うと、そこは先に見学した≪丸嘉ビル≫のすぐ近く。「まさかツアーでこんな路地に入るとは思わなかった!」と参加者の皆様の驚きも冷めやらぬ中、次に向かったのは路地的なものを設計に取り込んだ建築、≪ニコラス・G・ハイエックセンター≫(坂茂/2007年)です。そこにはSwatchグループの高級時計が各ブースに並んでいて、道であり建物でもある不思議な吹き抜け空間がありました。
続いて向かった≪GINZA SIX≫の駐車場も、あずま通りを建物で囲った不思議なつくりになっています。あずま通りを抜け中央通りに出ると歩行者天国が始まっていました。道路に出店や椅子が並んで、人々が思い思いにショッピングを楽しむ。そんな大らかな場が作られていました。最後、≪和光本館≫の道路に面した佇まいを見学し、Ginza Sony Park内のレストラン「BEER TO GO」にて食事を取り、ツアーは終了。
今回のツアーは「建築」の観点から銀座という街を読みました。表通りだけでない小さな路地にまで足を運んだことで、これまで気付かなかった銀座の面白さが新たに知れたのではないでしょうか。
レポート:阿久根 直子(学生インターン)
桑沢デザイン研究所デザイン専攻科2年