日時:2019年12月14日(土)17:00-20:00
見学場所:日建設計《世界貿易センタービル(東京)》(1970年)
参加者:11名
ナビゲーター:磯達雄
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東京建築アクセスポイント会員限定の夜のツアーを浜松町の世界貿易センタービルで行いました。はじめに磯先生による解説を伺いながら館内をめぐりました。世界貿易センタービルは当時日本一の高層ビルであり、先生が見せてくださった竣工時の資料からも、画期的な建物として強い期待を寄せられていたことが感じられました。港やJRの駅に近いうえ、モノレールの駅と接続され、別館にバスターミナルも設けられて、交通の拠点の役割も果たしています。
本館エントランスの上部は庭園になっており、「市民の憩いの場を作ることで都市に貢献する」という現代的に感じられる試みが当時から行われていたことに驚きました。この庭園は空中通路で通りの反対側のビルとつながっており、浜松町駅や汐留のビル群につなぐ計画も進められているようです。ここから見上げた本館はブロンズ色のカーテンウォールと、小さな窓の繰り返しが高層階まで続く、20世紀前半のニューヨークを思わせるような外観で、経済・貿易の中心というシンボリックな意味も込められているのかと想像しました。足元に目を向けると幾何学的な模様のタイルがあり、このタイルはニューヨークの世界貿易センタービルの彫刻を手掛けた流政之がデザインしているということでした。世界貿易センタービルを乗り換えなどに利用することはあっても建築として改めて見るのは初めてで、新鮮な体験ができました。
40階の展望台で汐留のビル群や竹芝桟橋、レインボーブリッジなどベイエリアの夜景を堪能した後は、38階のレストランで中華料理をいただきました。東京タワーのライトアップを楽しみながら、建築の話題で盛り上がりました。会員の方による「今年見たベスト建築」では、首都圏から海外、住宅から空港まで地域も規模も様々な建物の魅力を熱心にお話される会員の方々の様子が印象的で、建築を訪れることの楽しさを改めて感じました。また、今年アクセスポイントで実施されたツアーの感想やこれから開催してほしいツアーの企画も多くの意見が出され、今後のアクセスポイントの活動がより楽しみになりました。
レポート:山東真由子(学生インターン)
慶應義塾大学医学部3年