TOUR

【平日限定】新橋・銀座レトロビルヂングトークツアー vol.1

2017.02.15.
https://accesspoint.jp/reports/%e3%80%90%e5%b9%b3%e6%97%a5%e9%99%90%e5%ae%9a%e3%80%91%e6%96%b0%e6%a9%8b%e3%83%bb%e9%8a%80%e5%ba%a7%e3%83%ac%e3%83%88%e3%83%ad%e3%83%93%e3%83%ab%e3%83%82%e3%83%b3%e3%82%b0%e3%83%88%e3%83%bc%e3%82%af/

日時:2017年2月15日(水)13:00~16:30

見学場所:堀商店、ヨネイビル、丸嘉ビル、交詢ビル、電通銀座ビル、第一菅原ビル、和光(旧服部時計店)、教文館・聖書館、奥野ビル、鈴木ビル、岩瀬博美商店ビル、川崎ブランドビルヂング(旧宮脇ビル)

参加者:15名

ナビゲーター:和田菜穂子

 

 

関東大震災前後(1929-1934)の5年間に竣工したビルを巡るツアー。

ツアーのポイントは4つ
1.角地にあるビル
2.外壁
3.装飾
4.  窓

 

 

【堀商店】小林正紹・公保敏雄の設計(1932)

平日限定企画の目玉は《堀商店》(1932)の見学です。新橋の角地に立つビル《堀商店》は小林正紹・公保敏雄の設計で、同年に竣工した渡辺仁設計《服部時計店(現・和光)》に劣らないおしゃれなビルでした。堀商店の頭文字Hや鍵や錠などをモチーフにしたレリーフ、エントランスや軒周りの装飾、今では珍しい塔屋など、今もなお竣工当時の姿を留めています。《堀商店》は明治に入り、建築の近代化・洋風化の波に乗り、1890年に錠前や建築金物の輸入業者として創業した老舗の錠前屋です。その後、自社で開発を始め、今もなお品質の高い金物を製造しています。ここにある錠前のプライベートコレクションが素晴らしく、今回は特別に一般公開していないギャラリーを見せていただきました。

 

 

【電通銀座ビル】横河工務店設計(1933)

《電通銀座ビル》も角地にあるビル。1階はガラスブロックを用い、全体は緑色の光沢のあるタイルで覆い、新しい時代のキラキラした広告通信会社の本社ビルとして、目立っていたに違いありません。もうひとつの見どころはエレベーターホールのモザイクタイル。今でも豪華で品格のある雰囲気を保っています。

 

 

【交詢ビル】横河時介設計(1929)

横河工務店の創業者横河民輔の長男時介がアメリカから帰国後に設計担当した《交詢ビル》。こちらはファサードだけの部分保存です。交詢社は福沢諭吉が設立した日本初の社交クラブです。

 

【丸嘉ビル/ヨネイビル】森山松之助設計(1929/1930)

設計者の森山は台湾で活躍していた建築家。このふたつも角地に立つビル。低層階、中層階、上層階とファサードを分けてデザインしています。

 

【教文館・聖書館】アントニン・レーモンド設計(1933)

階段がふたつ並んでいるのはふたつの建物がくっついているからです。以前はアールデコ風の塔屋がありました。そしてかつてはレーモンドの事務所もここにありました。

 

 

【奥野ビル】川元良一設計(1932、1934)

今も現役のエレベーターは是非体験してもらいたいです。ふたつのビルが接続しているのは、やはりここでも階段室で表れています。小さなアートギャラリーがたくさん入居しており、何時間でも楽しめます。

 

【川崎ブランドデザインビルヂング(旧宮脇ビル)】設計者不明(1932)

「銀座レトロギャラリーMUSEE」にて展覧会「銀座、次の100年のためのスタディ展」鑑賞。この建物《旧宮脇ビル》は現在のオーナー川崎氏が買い取り、2013年から《川崎ブランドデザインビルヂング》と呼ばれています。設計者は不明ですが、堀商店、和光、奥野ビルと同じ1932年生まれ。元は灯油屋だったとか。

 

 

【岩瀬博美商店ビル/鈴木ビル】中村庸二設計(不明)/山中節治設計(1929)

岩瀬博美商店を調べると、乳製品の卸問屋からスタートし、その後自社で牛乳やバターなども製造していたとのこと。そのプロセスは堀商店と同じですね。ほとんど当時のまま残っている様子。建物内部が気になります。
《鈴木ビル》は歌舞伎役者等の貸衣装業を営んでいた鈴木氏が芝居の稽古場などを兼ねて作ったビル。装飾された太い柱、外壁タイルの割り付け、出窓・屋根のドーマー窓・丸窓の配置など、ファサード全体をみると濃すぎる要素が多く、なんだか印象に残ります。

 

銀座には1930年代の建物がまだ現役としてかなり残っています。

 

レポート:和田菜穂子