【受賞】2023年日本建築学会教育賞(教育貢献)
2023.04.19
 「建築ツアー等の実践的なプログラムを通じた、市民に向けた建築文化の普及活動」として、日本建築学会教育賞(教育貢献)を和田菜穂子、磯達雄、若原一貴、倉方俊輔、岸佑の5名で受賞いたしました。
法人設立7年目に突入。ご支援いただいたみなさまに深く御礼申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願いします。

 本教育活動は、建築の専門家集団として歴史的価値やその魅力を一般に正しく伝えるこ とを目的に、建築ツアーをはじめとする多岐にわたる建築教育活動を行うものである。教育 活動の 3 本柱は、建築ツアー、教育プログラム、調査研究となっており、それぞれが多様な プログラムを包含する。建築ツアーでは、市民向けツアー、外国人向けツアー、海外ツアー、 教育プログラムではこども向け教育プログラム、大学と連携したインターンシップ制度、ガ イドスタッフの育成、調査研究では建築文化資源の調査、公開イベント・シンポジウム、建 築文化資源マップ作成など、幅広い活動を精力的に行っている。各プログラムでは一方的に 情報を伝えるだけではなく、テーマを設定したり、対話型鑑賞を心掛けたり、設計者や作品 に応じた文化体験と組み合わせるなど創意工夫が凝らされている。また、COVID-19 感染症 拡大を機に、オンラインの活動も取り入れている。 建築ツアーは 5 年余りで 170 回開催され、2,000 人以上が参加するなど、実績を重ねてい る。また、リピーターやより深く建築を知りたい人向けに会員制度を導入し、入会者数を増やすなど、活動の効果の広がりと深まりが見られる。 建築は地域性と国際性や芸術と技術を体現する身近な文化であるにもかかわらず、日本 では学校教育の中で建築のことを学ぶ機会がほとんどない。大学の建築学科に代表される 建築学の専門家になる教育はあるが、市民や生活者として建築に接していくための教育が 欠けている。そのような状況において、建築文化資源に触れ、楽しみながら建築のことを知 る機会を創出している本活動は、市民の文化性の底上げに寄与し、建築のファン、理解者、 ときに優れたクライアントを増やし、ひいてはより良い構築環境の形成につながる可能性 を秘めている。このように教育活動を通した社会への貢献の点でも評価できる。 よって、ここに日本建築学会教育賞(教育貢献)を贈るものである。