5年間を振り返る活動記録集が完成しました!
文化庁の「文化芸術活動の継続支援事業」の助成を受け、作成したものです。現在、AP会員の皆様や関係者に無料配布しています。下記はテキストの一部抜粋です。
With covid-19 の時代は新しいフェーズへ
2020 年4 月7 日。日本政府より緊急事態宣言が発令された日である。それ以前の3月からわたしたちは開催予定だったツアーをキャンセルし、自粛体制に入っていた。その後、東京オリンピックが延期となり、多少なりともインバウンド客への建築ツアーを見込んでいたわたしたちにとって痛手となった。しかし一番ダメージが大きかったのは、9 月に東京で開催予定だったドコモモ国際会議の延期である。会議後のエクスカーション事業を一手に引き受けており、事業規模拡大のチャンスと捉えていた。しかしながら現状を受け入れるしかない。次の展開を模索していたところ、ドコモモ選定建築物をヴァーチャルツアーとしてガイドする「けんちく博士なほ子」が誕生する。早速5 月中旬よりYoutubeで「中銀カプセルタワーのヴァーチャルツアー」を公開。5 月29 日には初めてzoom を用いたオンラインツアー「パイミオのサナトリウム」を開催し、リアルではなかなか行くことのできない北欧建築を「けんちく博士なほ子」がナビゲートする。その後、大阪在住の倉方俊輔による 「大阪ツアー」や「学びなおし西洋建築」の展開が始まる。オンラインでの事業は遠方からの参加も可能であるため、裾野の広がりが期待できる。
このように試行錯誤の日々を送る中、わたしはようやく活動記録集の作成に着手した。もともとは設立3 年後に作る予定であったが、日々の雑務や品川区の委託事業「品川区歴史的魅力的建築物調査業務」に追われ、時間が割けなかった。しかしいま立ち止まって、自分たちの活動を振り返るにはちょうど良い時期である。いまわたしたちはコロナとともに生きる新しい時代の変貌期にある。「旅」や「ツアー」の概念もこれから大きく変わるであろう。
東京建築アクセスポイントも新たなフェーズを迎えている。しかし変わらないものもある。「建築を愛する心」だ。建築を見ることの楽しさを共有する手法に変化はあるだろうが、その根底にある「建築愛」は変わらないだろう。これからも一人でも多くの賛同者、支援者とともに「アクセスポイント」となる活動を継続していく予定である。