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【北欧建築紀行】パイミオのサナトリウム#3

2020.07.30
http://accesspoint.jp/reports/paimio3/

日時:2020年7月30日(木) 21:00~22:00

見学場所:パイミオのサナトリウム(フィンランド)

参加者:8名

ナビゲーター:和田菜穂子


パイミオのサナトリウムができた1933年頃、私の曾祖父母も大学を卒業して仕事を始めたばかりの結婚前に、それぞれ結核を患っていたようです。数年間長野県で療養して無事治ったようですが、もしパイミオのサナトリウムのような施設が日本にもあったならば、より快適に過ごせただろうにと常々思います。この施設の中に、曾祖父母が横たわっている姿を想像しながらツアーに参加しました。

 

この施設で印象に残った点は、色使いに気を配っていることです。患者の気分が晴れやかになるよう階段を黄色にしたり、病室の中の家具や天井には、緑色を使用したりしていました。私の家もリビングルームのソファーやカーテンは緑色にしています。緑色を見ると目が休まり、落ち着いて過ごすことができます。今でこそ家では当たり前の工夫かもしれないけれど、それを約100年も前に、しかも病院で試みたことは画期的であったと想像できます。

 

また、食堂があることにも驚きました。入院患者が自分の部屋ではなく、みんなと同じ場所で食事を共にするという発想は今でも考えられません。人と顔をあわせることで3度の食事が毎日の楽しみとなり、気晴らしになっていたのではないかと思いました。

 

通常病院というと、家具も天井も壁も全て白色で、無味乾燥なイメージがありますが、この施設の場合、患者目線の工夫が他にもいたるところに施されています。細かなところにまで気を配り、患者に寄り添いながら快適な空間を作り出したアールトに感銘を受けました。

 

たまたまこの施設が結核患者の施設ということで、曾祖父母がどのような気持ちで療養生活を送っていたのかを考えさせられました。日本にはこの施設ほど工夫を凝らした病院はなかったかもしれないけれど、建物という空間が彼らに生きる力を与え、完治に至ったのかもしれないと思いました。建物の持つ大きな力に圧倒されました。

 

学生インターン:舟山織沙(慶應義塾大学法学部法律学科1年)