TOUR

【新春スペシャル】東京建築☆七福神巡り2018

2018.1.7
https://accesspoint.jp/reports/%e3%80%90%e6%96%b0%e6%98%a5%e3%82%b9%e3%83%9a%e3%82%b7%e3%83%a3%e3%83%ab%e3%80%91%e6%9d%b1%e4%ba%ac%e5%bb%ba%e7%af%89%e2%98%86%e4%b8%83%e7%a6%8f%e7%a5%9e%e5%b7%a1%e3%82%8a2018/

日時:2018年1月7日(日)10:00~16:30

見学場所:「日本水準原点標庫」、「国会議事堂」、「憲政記念館」、「国立劇場」、「最高裁判所」、「赤坂クラシックハウス」、「山茶花荘」

参加者:4名

ナビゲーター:和田菜穂子

 

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参加者4名に、ナビゲーターとアシスタント2名を加えて合計7名で「建築七福神ツアー」はスタート。ナビゲーターの和田さんから「本日の行き先は最後まで内緒のお楽しみツアーです!」と冗談交じりのひと言。

 

一番目は、待ち合わせ場所の「憲政記念館」を素通りしてお隣の国会前庭へ。目指したのは、こじんまりしたローマ神殿風の建物。「日本水準原点標庫」(1891年、設計:佐立七次郎)でした。この建物は日本の地図上の標高の原点を納める倉庫。小さいながらも石造りの本格的な明治の洋式建築で、東京都の指定有形文化財です。記念撮影を終えた後で、新春クイズ第一弾の出題。見事正解者が出て、幸先良いスタートです。今回は見学する建物ごとにクイズが出され、正解者には賞品が贈られるというお楽しみツアーです。

 

一同は二番目の目的地、「国会議事堂」(1936年、設計:大蔵省臨時建築局など)へ。重厚な建物ですが、その内外装に使われている花崗岩などはほぼ国内産。特に沖縄産の珊瑚石灰岩が使われている内部の壁には化石がたくさん。子どもが喜びそうです。衆議院本会議場では傍聴席に座って、議事堂建築についての詳しい録音解説が聞けます。ここだけは写真OK。内部をぐるりと見学してから前庭へ。議事堂正面からの撮影もOKということで記念撮影。

 

次は先ほどパスした「憲政記念館」へ。本日の三番目の訪問先です。旧名称は「尾崎記念会館」(1960年、設計:海老原一郎)で「docomomo Japan100選」のモダニズム建築。設計を手がけた海老原は、山口文象らと共に活躍した建築家。マーク・ロスコのコレクションで有名な川村記念美術館などを手がけています。

 

四番目の目的地は皇居のお堀沿い、「国立劇場」(1967年、設計:竹中工務店 岩本博行)でした。入り口は歌舞伎の演目に合わせたかのような新春の装い。茶色いシックな色合いの校倉造り外壁に良く映えます。こちらも「docomomo Japan100選」。本日は公演中とのことで外側を一周。細部の作り込みの精度に感心しながら見て回りました。

 

続いて五番目の目的地は、「最高裁判所」(1974年)。岡田新一の出世作です。こちらも内部見学は難しく、事件を傍聴するか、いっそ事件を起こして最高裁まで争うか?などと冗談をいいながら、撮影のベスト・ポジション探し。石張りの巨大なマッスが一望できる場所で、和田さんの解説を聞きます。「国会や裁判所は国家権力の象徴となる建築物なので、どの国も国家の威信をかけて建設に力を注ぐ」とのこと。確かに先ほど見てきた「国会議事堂」もこの「最高裁判所」も威風堂々と圧倒的な存在感です。しかし和田さんはこう続けました。「スウェーデンのアスプルンドが設計したヨーテボリの裁判所はこれと真逆の発想で、市民に開かれたオープンなスペース。自然光が燦々と降り注ぎ、とても裁判所には見えません。待ち合わせ場所にもおすすめの空間なんです」とのこと。行ってみないと想像がつきませんね。

 

六番目の目的地が本日のランチ場所。「赤坂プリンス クラシックハウス」です。チューダー朝のクラシックな洋館は、元の「プリンスホテル別館」(旧李王家邸、1930年、設計:宮内省内匠寮)。現在でも、結婚式場やカフェ、レストランとして営業中です。一同、こちらでおいしいランチをいただき、プリンス&プリンセスの優雅なひとときを過ごしました。

 

さて最後の七番目はお正月らしいテーマで、ホテル・ニューオータニの日本庭園内にある、かの有名な「なだ万 本店」の「山茶花荘」。村野藤吾の傑作と言われる数寄屋造りの日本料亭です。一同、テンションが上がり、今回一番のハイライトとなりました。源氏物語にちなんだ「花桐・葵・紫・茜」の各座敷やお庭などを本店長自らの解説付きで案内していただき、一同大感激。さすがの村野建築、随所に村野らしいエッセンスがちりばめられていました。最後にはお庭で記念写真を撮っていただくなど大満足な一同でした。

 

日本の「原点」からスタートし、福が満載だった終点「山茶花荘」まで、中身の濃いツアーでした。参加された皆さんにとって、この「七福神ツアー」が良い年の開幕にふさわしいものになったことと思います。

 

レポート:大山 光彦(ボランティア・スタッフ)