TOUR

青山モダン散歩:現代建築の奥にある近代建築を巡るツアー

2018.1.13
http://accesspoint.jp/reports/%e9%9d%92%e5%b1%b1%e3%83%a2%e3%83%80%e3%83%b3%e6%95%a3%e6%ad%a9%ef%bc%9a%e7%8f%be%e4%bb%a3%e5%bb%ba%e7%af%89%e3%81%ae%e5%a5%a5%e3%81%ab%e3%81%82%e3%82%8b%e8%bf%91%e4%bb%a3%e5%bb%ba%e7%af%89%e3%82%92/

日時:2018年1月13日(土)10:00~13:00

見学場所:山田守自邸、岡本太郎記念館、コレッツィオーネ、フロムファーストビル、カニングハム・メモリアル・ハウス、サニーヒルズ微熱山丘南青山店、他

参加者:16名

ナビゲーター:和田菜穂子

 

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今回のツアーは沢山のブランドショップが軒を連ねる青山エリアの裏側を廻り、根津美術館の裏手にある旧カニングハム邸(現カニングハム・メモリアル・ハウス)を訪れるという企画。青山通りに面するスパイラル(1985年槇文彦設計)からツアーはスタートしました。

 

まず訪れたのは旧山田守自邸(1959年)。山田守は武道館や東海大学等の設計で知られている建築家ですが、自邸のそこかしこに氏の設計特徴が表れていて、特に玄関のすぐ脇にある螺旋階段などが目を引きます。その後、紙専門商社(株)竹尾様のショールーム青山見本帖を外から見学し、フレンチレストランのロアラブッシュへ。こちらは元々1934年に黒川仁三氏の設計により建てられた邸宅だったそうで、中はとてもユニークな造りになっているとの事。今回は外観のみの見学でしたが、近々ランチ付きツアーを企画するそうです。続いて岡本太郎記念館(1954年坂倉準三設計)へ。コンクリートブロックと鉄筋コンクリートの柱による構造、凸レンズ状の屋根など、外部から建物の特徴を捉えてから、内部を自由に見学しました。アトリエの北側採光や作品の搬出入を考慮した間取りなどを確認しつつ、岡本太郎の才能溢れる作品も楽しみました。そして、あたかも迷路に入ったかのような心地がする安藤忠雄設計のコレッツィオーネ(1989年)、山下和正の代表作フロムファーストビル(1975年)の内部を通り抜け、建物の回遊性を楽しみました。どちらも複数の店舗が入った商業複合ビルです。

 

ツアーのメインである旧カニングハム邸は、1954年にアントニン・レーモンドによって建てられました。戦後まもない頃に建てられたこの住宅は、限られた材料で作られたとても質素な造りになっています。施主のエロイーズ・カニングハム女史は、レーモンドの妻ノエミと古くからの友人だったそうで、今でも彼女の手による家具が沢山残されていました。他にもレーモンド建築によく見られるシザーズトラス構造や暖炉、モンドリアンの絵画を思わせる障子などモダンな要素が沢山。設計にあたっては音楽鑑賞の空間が第一の要望だったそうです。家の中でも1番日当たりのいい場所に設けられたキッチンからは、小扉を介してサロンに料理等を出し入れできるようになっていました。せっかくの音楽を鑑賞する為の家なので、それを確認しない訳にはいきません。サプライズで和田先生がピアノを演奏されました。家中に鳴り響くピアノの音色に参加者の皆様もしばし耳を傾けます。1階で聴くと重厚感ある音色だけど、2階だと身体に染み入るようなちょうどいい音色だったとの感想もありました。

 

その後、梵寿網氏が設計したマンション「エスペランザ」、青山霊園すぐ側の齋藤裕設計の「るるるる阿房」を外観から見学後、隈研吾設計のサニーヒルズ微熱山丘南青山店の内部を見学。東環境・建築研究所、北河原温氏設計のWISMA-Iビル、浅葉克己デザイン室を訪れ、最後にSANAA設計のフラワーアーティストニコライ・バーグマンのジュエリーショップを鑑賞してツアーは終了しました。

 

1950年代に建てられた3つの住宅、旧山田守自邸(1959年)、旧岡本太郎アトリエ兼住宅(1954年)、旧カニングハム邸(1954年)を中心に、30年代の洋館、70年・80年代の商業複合ビル、そして最新の店舗デザインまで、たくさんの建築を巡りました。普段表通りを散策しても、裏通りまでは足が向かない人は多いかと思います。裏通りを巡った事で新たな発見があり、「街歩きって面白いのね!」といった声も聞きました。とても充実した楽しい1日でした。

 

レポート:阿久根 直子(学生インターン)

桑沢デザイン研究所デザイン専攻科1年