TOUR

豊かな暮らしをそのままに 遠藤新設計の《萩原邸》

2018.7.7
http://accesspoint.jp/reports/%e8%b1%8a%e3%81%8b%e3%81%aa%e6%9a%ae%e3%82%89%e3%81%97%e3%82%92%e3%81%9d%e3%81%ae%e3%81%be%e3%81%be%e3%81%ab-%e9%81%a0%e8%97%a4%e6%96%b0%e8%a8%ad%e8%a8%88%e3%81%ae%e3%80%8a%e8%90%a9%e5%8e%9f/

日時:2018年7月7日(土)10:00~13:00

見学場所:遠藤新《萩原家住宅》(1924)

外観のみ:北山恒《Klarheit三宿》(2008)、古谷誠章《ZIG HOUSE/ZAG HOUSE》(2001)、千葉学《sugar》(2014)、青木淳《J》(2007)、保坂陽一郎《ファンタピア三軒茶屋の家》(1990)、難波和彦《FAM共同ビル》(1987) ほか

参加者:13名

ナビゲーター:和田菜穂子、柏木裕幸(代理ナビゲーター)

 

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7月7日の七夕の日に、1924年の竣工から3世代に渡り大切に受け継がれてきた遠藤新設計《萩原家住宅》の見学ツアーを行いました。施主のお孫さんで、現在の家主である、萩原淑子さんがご丁寧に内部を案内してくださいました。

 

《萩原家住宅》はフランク・ロイド・ライトの弟子遠藤新が独立後初期に設計した住宅です。その特徴は玄関ホールを軸として廊下を介せず部屋と部屋の繋がりで空間が連続して行く事にあり、向かって右手にある書斎が家具等も含めて最も竣工当時の様子を残している部屋という事でした。玄関ホール向かって左手にはご家族の住居部分が広がっています。そこで目に入るのは台所から和室まで一繋がりになっている高い天井です。そこには自然換気の為の小窓が付いていました。また、夫婦の寝室として使われていた和室へは、子供部屋を通って行くというユニークな造りになっていました。施主・萩原庫吉さんの奥様は生家が侍の家だったそうで、婚姻当時は和室が一部屋しかない事に混乱していた、という裏話も伺いました。台所には造り付けの食卓と椅子があったそうですが、祖母からお父様へ受け継がれ大改装を行った時に処分したという話でした。増築部分の音楽室は建築家の宮井昭隆さんの手による物です。既存部分と調和するように考えられた設計やお父様の好みが反映された、中2階の桟敷をイメージした場所等こちらも見所ある部屋でした。最後は庭先から外観を拝見させて頂き、《萩原家住宅》を後にしました。

 

その後はAPサポーター・柏木裕幸さんが若原先生の代理ナビゲーターとして、世田谷の住宅地を案内してくださいました。北山恒の店舗併用集合住宅《Klarheit三宿》(2008)や、建築家・古谷誠章の自邸《ZIG HOUSE/ZAG HOUSE》 (2001)、千葉学《sugar》(2014)・青木淳《J》(2007)を訪れ、最後はポストモダン建築が隆盛した頃に建てられた保坂陽一郎《ファンタピア三軒茶屋の家》(1990)と難波和彦《FAM共同ビル》(1987)を道路から外観のみを見学をしてツアーは終了しました。

 

《萩原家住宅》の保存には、上野恩賜公園に在る奏楽堂の保存活動に関わられていた萩原淑子さんのお父様のご尽力があったそうです。旧い住宅を受け継ぐという事は1人の意思だけでは成し得ないものだと思います。わたしたちのツアー参加費の一部は保存のために寄付させていただきました。現在の姿に至るまで様々なドラマを経て受け継がれた住宅を拝見して、その紆余曲折に想いを馳せた時間となりました。

 

 

レポート:阿久根 直子(学生インターン)

桑沢デザイン研究所デザイン専攻科2年