TOUR

勤労に感謝!人の少ない銀座で、リフレッシュ建築ツアー

2017.11.23
http://accesspoint.jp/reports/%e5%8b%a4%e5%8a%b4%e3%81%ab%e6%84%9f%e8%ac%9d%ef%bc%81%e4%ba%ba%e3%81%ae%e5%b0%91%e3%81%aa%e3%81%84%e9%8a%80%e5%ba%a7%e3%81%a7%e3%80%81%e3%83%aa%e3%83%95%e3%83%ac%e3%83%83%e3%82%b7%e3%83%a5%e5%bb%ba/

日時:2017年11月23日(木)9:30~11:30

見学場所:「泰明小学校」、横河工務所「電通銀座ビル」、横河工務所「交詢社倶楽部」、森山松之助「丸嘉ビル」、TNA「銀座夏野ビル」、渡辺仁「和光」、林昌二・日建設計「三愛ドリームセンター」

参加者:14名

ナビゲーター:倉方俊輔

 

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生憎の雨でしたが、銀座周辺の昭和戦前期の建築を中心にトークツアーをおこないました。

 

数寄屋橋交差点付近に建つ《泰明小学校》は関東大震災後の復興小学校の一つです。学校がこども達の学び舎としてだけでなく、地域のコミュニティセンターの役割も果たすように、銀座の人々の寄付金によって完成した講堂や隣接する数寄屋橋公園も一体となって計画されています。現在東京高速道路が走る部分は、かつては川が流れており、《泰明小学校》全体が船舶をイメージしたデザインとなっています。船が進む姿が復興のシンボルであるようです。玄関も伝統を抜け出し、建物の角などをものともしないモダンなデザインとなっています。

 

《電通銀座ビル》は現在の電通ビルの2代前に本社が置かれていたビルディングです。この建物も《泰明小学校》と同様に、地面から伸びる大きな縁取りが角をものともせず正面玄関を囲むデザインとなっています。外装は豆タイルで施されていますが、タイル割りによって全体が設計され、さらにはピッタリと正確に施工がなされているのは当時の職人たちの技によるものであり、今ではなかなかできません。

 

個人的に面白いと感じたのは武井誠と鍋島千恵のユニットであるTNAによる《銀座夏野ビル》。最近建った新しいビルですが、敷地面積はかつての銀座の商店と同じ様にそこまで大きくはありません。外部の非常階段をらせん状に外周させ、それぞれのフロアの平面形状はその階段との関係によって変化するという構成は、銀座のまちとビルディングの新しい関係性を生むような印象を受けました。現在はまだテナントが入っていない状態だったので、オープンしたら是非内部から体験したいと思いました。

 

最後に銀座四丁目交差点へ。渡辺仁の《和光》と林昌二の《三愛ドリームセンター》を見学しました。銀座の一等地にビルを建てるなら普通は敷地いっぱいに建てるところを、1963年に竣工した《三愛》は円筒形にすることで周りの建物より目立ち、商業的な効果が狙えるという考えのもと計画されました。単に利益を追求するのではなく、銀座というまちの中での位置づけが考えられています。

1932年に竣工した《和光》はまちの顔としてのデザインに古典的な要素が用いられています。メダイヨンには、服部時計店(現・セイコーホールディングス株式会社)を象徴するシンボルが描かれています。例えば、砂時計と文字盤、Hの文字と懐中時計など。その時代に合わせて、どのようなデザインが信頼を得られるかということが銀座のような商業的なまちの建築では命題の一つでした。《和光》のような戦前の建物は古典や伝統などを用い、《三愛》のような戦後は何かに頼ることをやめたという変遷が、この交差点だけでも感じ取ることができます。

 

今回のツアーではビルのオーナーや設計者が、その建物が銀座というまちでどのような役割を担うかを意識していることや、時代ごとにどうすれば信頼を得られるかがデザインに表れていることを知りました。銀座はこれからも色々なところが更新されたり、残されたりして、ますます多様なまちになっていくのだろうな、とも感じました。

 

レポート:中村 竜太(学生インターン)

早稲田大学 創造理工学部 建築学科3年