日時:2017年6月25日(日)13:00〜17:00
開催場所:リッチモンドホテルプレミア東京押上5階会議室KOTOTOI /東京スカイツリー
参加者:大人16名、お子さま16名
講師:小西厚夫(日建設計構造設計部)
企画:和田菜穂子(東京建築アクセスポイント/慶應義塾大学非常勤講師)
学生アシスタント:照沼怜士(慶應義塾大学理工学部2年)、金杉華(慶應義塾大学経済学部2年)
街のシンボル「東京スカイツリー」の構造を学ぶ、体験型のワークショップ&見学会を開催しました。講師の小西先生は実際に東京スカイツリーの構造を担当した専門家です。ワークショップでは、スパゲッティとマシュマロを用いて、親子がペアを組んで制作に取り組みました。「高さ」「美しさ」「工夫」「街のみんなに愛される」の4つを総合して優勝チームを決めました。
下記は学生アシスタントによるレポートです。彼らは5月20日に行われた慶應義塾大学でのワークショップ後、優勝チームの特典として「東京スカイツリー」の裏側を見学しました。
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2017年6月12日(月)
大学で行われた構造ワークショップの優勝チームとして、一般にはめったに公開されないスカイツリーの裏側を見学させていただく機会を得ました。見学日当日、地上1Fより複雑な通路を通って階段をくだり、まず訪れたのは地下部分でした。にじり口のような小さな扉を腰を屈めて中へ進み入ると、狭く薄暗い空間に、いかにも屈強な太く短い6本のアイソレーターが現れます。免震用の積層ゴムでできている心柱の最下部で、大変な自重を支えていると聞き、思わず目を見張りました。続いて、展望回廊の屋根部分に当たる、高さ458mの屋上へ。ヘルメットと命綱を着けて鉄筋の足場へ上がると、思わず足がすくみました。風の吹くなか恐るおそる見上げたタワーの構造美、そして目下に広がる壮大な景色はまさに圧巻。建物内へ戻った後、オイルダンパーと制振構造の工夫や、建設過程の苦心談など、タワー内の要所を面白おかしくご紹介くださいました。頼もしいプロフェッショナル・小西先生のお話のうちに、外形的なスタイルだけではなく、微に入り細にわたって「用・強・美」が徹底されたスカイツリーの魅力を感じました。
2017年6月25日(日)
子供向けのワークショップに、アシスタントとして参加しました。制限時間は1時間30分。完成後は各チームのタワー紹介とアピールに基づき、和田先生・小西先生による審査が行われました。年端もいかない子供達ができるだろうかとのスタッフの思いは全くの杞憂で、いずれのチームも親子協力して、手早く意欲的に作業を進めていかれます。直感的に空間を構成し、柔軟に表現していく子供たちのエネルギーと天賦の才には、こちらも舌を巻く思いでした。
いざ審査の場に揃ったのは、観覧車を添えたものから、外連味がなく機能に優れたもの、力強いオブジェのようなものまで、どれも甲乙つけがたい魅力的な作品の数々でした。優勝者の語ったタワーのアピールポイントは、「パスタ・マシュマロという材料自体の脆弱性を見込んで、短い部材で強度を高めたこと」「低層部の組み立てに時間をかけ、安定させたこと」とのこと。専門的な考察と綿密な計画に、一同驚かされました。続くスカイツリー見学では、小西先生の解説に、子供達も熱心に耳を傾けていました。
今回のイベントを通じて、実際に手を動かして建築を身近に感じる機会を得たのは、子供達にとって意味のある体験だったことでしょう。制作中、マシュマロを頬張り「スカイツリーくらいすごいのつくるぞ!」と言った参加者がいました。目の前の子供達から建築家がうまれるかもしれない未来に想いを馳せながら、世界一の電波塔・スカイツリーを後にしました。
レポート:金杉華(慶應義塾大学経済学部2年)