TOUR & PARTY

【AP会員限定】夜のツアー&懇親会

2019.6.27
https://accesspoint.jp/reports/ap%e4%bc%9a%e5%93%a1%e5%90%91%e3%81%91%ef%bc%9a%e7%ac%ac%ef%bc%91%e5%9b%9e%e5%a4%9c%e3%81%ae%e3%83%84%e3%82%a2%e3%83%bc%ef%bc%86%e6%87%87%e8%a6%aa%e4%bc%9a/
日時:2019年6月27日(木)18:30~21:00
会場:《東京さぬき倶楽部》(大江宏/1972)
参加者:14名
ナビゲーター:倉方俊輔

今回のレポートは参加したAP会員2名の感想になります。
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会員限定、夜のツアー&懇親会として第1回倉方俊輔先生を囲む会に参加しました。「東京さぬき倶楽部」は大江宏の作品(1972年)で、ネーミングは①香川県人の拠点とする場所、②香川在住の人達と東京香川県人の集う場所、③首都圏および周辺に住んでいる人達に、香川県の観光・産品・味覚・文化を「五感で体験」してもらう場という目的から名付けられたそうです。倉方先生の案内が定刻にはじまり、東京大学で大江宏は丹下健三と建築を学んだ同級生で、その後異なる道を歩んで行ったことを知りました。内部空間は大江の特徴である、内外の一体感・素材の扱い・工業化の連続性により空間に調和が生まれています。プレキャスト・煉瓦・陶板タイル・カーペット等、異なる要素が溶け合い、素材の感覚が空間をつくっていました。ラウンジ空間の床は周囲より下げられ、天井は素材や高さにも変化があり空間に豊かさを感じました。また、倉方先生が折衷・融合・素材感覚・作風を建売住宅的と表現したことが興味深かったです。建物見学が終わり、もう一つの楽しみである懇親会会場の別館、花樹海へ移動。別館は明治時代建てられた木造建築でとても趣きのある空間です。会席料理を味わいながら、建築好きな方々との語らいで楽しい時間があっという間に過ぎて行きました。
AP会員:Fさん(男性)
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さぬき倶楽部本館を倉方さんの熱い解説とともに堪能した後は、いよいよお楽しみの懇親会です。会場は別館「花樹海」。ここはかつて御木本幸吉の別邸として建てられた明治時代の木造家屋で築100年あまりの歴史を紡いでいます。今日はここを贅沢に1棟貸し切り状態でした。まずは、食事の前に全館を自由に巡ります。1階にはそれぞれ大きさもデザインも異なる部屋が5部屋あり、網代天井やベンガラの壁など当時からと思われる意匠が残り、ダウンライトの照明がそれらの空間を映し出しています。「琴平の間」は障子のある扇形に抜けた窓から雨に濡れた緑がほのかに浮き立って、落ち着いた個室。「この別館は来年取り壊し予定でしたが、再来年に伸びたみたいです」と仲居さんのお話。2階の「瀬戸の間」への階段は急勾配でしたが、絨毯が敷かれてあって足が滑らないので楽に昇降できます。さて、今日の宴席会場「八栗の間」は、床の間や欄間の造作が繊細な和室で黒いテーブルに朱塗りの椅子がゆったりと置かれています。今日のホスト役の倉方さんのご挨拶と乾杯で和やかに始まりました。自己紹介タイムでは、会員になったきっかけ(これは中銀カプセルが一番多かった)、最近見た建物で印象に残っているものを紹介し合いました。様々な立場の方々が参加しており、建築に対する見解はそれぞれですが、専門家の方がたを交えてフラットに談話できる場所はなかなかありません。まさに会員限定の企画ならではだと思いました。私たちの歓談のざわめき、人の話に聞き入っているときの静寂、一棟貸し切りという空間は見学するだけでは得られないより一層の親和性をもたらしました。次々と運ばれるお料理は香川県の食材を使ったもので、和洋折衷の創作メニュー。建物同様に伝統を守りながら、きらりと光るエッセンスが投入されています。宴も終盤にかかったころに〆の讃岐うどんが登場。御木本幸吉がうどん屋の出身という背景も思い出される一品です。次回は磯さんが主役の懇親会ということで楽しみは続きます。さぬき倶楽部の敷地内には藤田四郎の本宅をリノベーションした「ばんげ」という居酒屋もあり、庭園とともに明治・大正・昭和の面影が残っています。霧雨の中の帰り道、麻布十番とは思えない路地の風情がその余韻をいつまでも残してくれました。

AP会員:Sさん(女性)