TOUR

村野藤吾トークツアー「日生劇場」

2017.02.26.
https://accesspoint.jp/reports/%e6%9d%91%e9%87%8e%e8%97%a4%e5%90%be%e3%83%88%e3%83%bc%e3%82%af%e3%83%84%e3%82%a2%e3%83%bc%e3%80%8c%e6%97%a5%e7%94%9f%e5%8a%87%e5%a0%b4%e3%80%8d/

日時:2017年2月26日(日)14:30-17:30

見学場所:旧森五ビル(現近三ビルジング)、日本橋高島屋(増築)、旧大阪ビルヂング(現八重洲ダイビル)、旧有楽町そごう(現読売会館)、日本生命日比谷ビル(日生劇場)
参加者:21名
ナビゲーター:若原一貴

 

 

ナビゲーターの若原は、村野藤吾設計の目黒区庁舎(旧千代田生命ビル)の建築ボランティアガイドを務めています。今回のツアーは渡邊節事務所独立後の処女作《旧森五ビル》(1931)からスタートし、《日生劇場》(1963)に至る30年ちかくの変遷を、実際の建築を見ながら巡りました。

 

《日本橋高島屋増築》(1952)、《旧大阪ビルヂング》(1968)、《旧有楽町そごう》(1957)の外観をみてまわり、いざ日生劇場へ。エントランスホールは、幾何学的な天井、大理石の床、美しい階段等、見るべき箇所が多く、高揚感が高まります。階段手すりに関しては繊細なデザインを実際の触覚で試しながら上階へ移動することをお勧めします。また、カフェコーナーやホワイエの椅子に腰かけてみることも忘れないでくださいね。視点の変化で空間体験の印象が異なることでしょう。また椅子のディテールの素晴らしさも体感できます。今も古びることなく完成度の高いデザインといえます。なお赤と白を基調にしたこの劇場は、こどものためにつくられたもので、階段の蹴上もこどもに合わせ低くなっています。ホワイエの窓から外を眺めると、向かいには帝国ホテルが見えます。当時はフランク・ロイド・ライト設計の建物を臨むことができました。

 

ハイライトはなんといっても劇場ホール!
息を飲むほど美しく、うねる壁はモザイク、天井はアコヤ貝(実はマド貝が正しいそうです)で覆われ、煌びやかな夢の世界が広がっていました。アコヤ貝はひとつひとつ職人が手作業で貼っていったものです。

 

ちなみに劇場の改修工事は10年に一度の頻度で行われ、前回はLEDへの照明変更と座席の配列変更がおこなわれたとのこと。劇場の維持管理の方針は、オリジナルのデザインを損なわずに保持することを一番に考えているそうです。

 

村野藤吾の日生劇場ツアーはまた開催したいと思います。

今度は観劇と合わせて実際の劇場空間を味わってみたいですね!

レポート:和田菜穂子