TOUR

住宅散歩:久が原の住宅地巡り

2017.09.10
https://accesspoint.jp/reports/%e4%bd%8f%e5%ae%85%e6%95%a3%e6%ad%a9%ef%bc%9a%e4%b9%85%e3%81%8c%e5%8e%9f%e3%81%ae%e4%bd%8f%e5%ae%85%e5%9c%b0%e5%b7%a1%e3%82%8a/

日時:2017年9月10日(土)13:00~16:00

 

見学場所:山口文象「久が原教会」(内部を見学)、山口文象「山口文象自邸」(内部を見学)、清家清「久が原の住宅」「続・久が原の住宅」、その他久が原周辺の住宅を外観から見学

 

参加者:13名

 

ナビゲーター:若原一貴

 

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古くから邸宅地として知られる久が原周辺の住宅を巡るツアーをおこないました。

 

まずは山口文象設計《久が原教会》(1962)。現存する建物は二代目であり、竹中工務店の改修も入っています。同じく山口による一代目は全てが真っ白な木造の会堂でした。現在の建物は、内部は鉄骨の骨組みが露出しその間を木板で仕上げられています。教会の石川さんのお話によると、二代目の建物が出来た当初は、トップライトと側面の窓から光を取り入れるのみで照明器具はなかったそうです。そのため内部は薄暗く、併設される幼稚園の子供たちが怖がっていたようです。改修によって今ではとても明るい空間となり、屋根裏部屋敵な印象があってワクワクするせいか子供たちも会堂内で遊びだすくらいです。椅子などの家具も山口がデザインしたものです。

 

次は本日のメインである《山口文象自邸》です。通りに面した外部は閉鎖的な印象を与え、広い屋根面によって全体として低く抑えた印象の外観です。しかし、中に入った瞬間に、サロンを通して目の前に広がる中庭という情景が開放的でとても美しく、一同思わず「おお…」という声が出てしまいました。サロンは山口の友人知人がいつも訪れていて、開かれた家にしたいという考え方が実践されていました。また、建築家自身の実験の場として様々なところが増改築されています。中庭に面したところに下屋を伸ばすため垂木を鉄骨で付け足すなどしています。ご子息である山口勝敏さんは「家が人を呼ぶ」とおっしゃっていました。そのせいか、ファッション誌や写真集のロケ地になることが多いようで、今でも多種多様な人々が出入りする居心地の良い家です。

 

山口文象自邸を後にし、久が原の住宅地を散策しました。途中、難波和彦の《箱の家 No.51》、竹山聖設計の住宅を見て、一行は清家清《久が原の住宅》、《続・久が原の住宅》を外観から見学しました。工業製品と手仕事の対比が表現され、敷地ギリギリに建てるという清家が設計する住宅の地味な特徴も見受けられました。次回は内部も見学したいです。

 

山口文象自邸は建築家が意図した開かれた家という使い方が今でもなされていて素晴らしいなと感じました。勝敏さんも自身が音楽家であり、この家でコンサートをおこなっています。ご興味のある方は是非。

 

レポート:中村 竜太(学生インターン)

早稲田大学 創造理工学部 建築学科3年