TOUR

バウハウス100周年記念  山脇巌設計の三岸アトリエ

2019.6.8
https://accesspoint.jp/reports/%e3%83%90%e3%82%a6%e3%83%8f%e3%82%a6%e3%82%b9100%e5%91%a8%e5%b9%b4%e8%a8%98%e5%bf%b5%e3%80%80-%e5%b1%b1%e8%84%87%e5%b7%8c%e8%a8%ad%e8%a8%88%e3%81%ae%e4%b8%89%e5%b2%b8%e3%82%a2%e3%83%88%e3%83%aa/

日時:2019年6月8日(日)10:00〜13:00

見学場所:山脇巌《三岸アトリエ》(1934)、内藤廣《ちひろ美術館・東京》(2002)

参加者:15人

ナビゲーター:和田菜穂子

 

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今回のツアーは、バウハウス設立100年ということで、バウハウスへの留学経験のある山脇巌が設計した《三岸アトリエ》(1934)を訪ねました。竣工を待たずに施主である三岸好太郎は亡くなってしまいますが、好太郎の妻で同じく画家の三岸節子がアトリエとして使用した建物です。到着してまずは外観を見ながら、和田先生からバウハウスについて簡単なレクチャーがありました。その後、敷地の中に入り、三岸好太郎・節子夫妻のお孫さんで、この建物を管理されている山本愛子さんからアトリエについてのご説明がありました。山脇巌はバウハウスで写真についても学んでおり、その山脇巌が撮影した当時の写真や図面のコピーなど、様々な資料が用意されていました。大きなガラスのファサードに鉄のフレームを用いた開口部が特徴の白い箱型の建物は、当時周囲からは「豆腐の家」と呼ばれていたそうです。非常にバウハウスらしい、シンプルで洗練された建物です。全体は白ですが、三岸節子の作品にも好んで使われた、印象的な赤を玄関扉などにあしらっているのもモダンだと思いました。また、中庭で山本さんの手づくりのコーヒーとクッキーを頂きながら、古い建物維持の大変さについてお話をお聞きしました。カフェは今年5月にオープンしたばかりだそうです。是非みなさんお気軽にお訪ねください。

 

次に、《ちひろ美術館・東京》(2002)に向かいました。いわさきちひろが住んでいた敷地に1977年にオープンした美術館です。2002年に全面建て替えでバリアフリー化が行われました。安曇野ちひろ美術館を手がけた内藤廣による建築です。外観は赤が印象的で、周囲の植物の緑と対照的です。内部には杉板で型をとったコンクリートの壁と、バーボンウイスキー工場で使っていた木材を再利用した床材で、とても落ち着くような雰囲気でした。

 

絵画と関わりの深い建築では、光の取り入れ方が重要です。芸術家のアトリエと作品を展示する美術館。どちらの建物にも普通の建物とは違った光の取り入れ方の工夫があり、とても興味深かったです。

 

レポート:三上佳祐(学生インターン)

慶應義塾大学理工学部1年