TOUR & LECTURE

中銀カプセルでメタボリズム建築を学ぶ基本編vol.11 & 13

2017.11.05 & 2017.11.22
https://accesspoint.jp/reports/%e4%b8%ad%e9%8a%80%e3%82%ab%e3%83%97%e3%82%bb%e3%83%ab%e3%81%a7%e3%83%a1%e3%82%bf%e3%83%9c%e3%83%aa%e3%82%ba%e3%83%a0%e5%bb%ba%e7%af%89%e3%82%92%e5%ad%a6%e3%81%b6%e5%9f%ba%e6%9c%ac%e7%b7%a8vol-11/

日時:2017年11月 5日(日)13:00~16:00 / 2017年11月22日(水)13:00-16:00

見学場所:ニュー新橋ビル、静岡新聞・静岡放送東京支社、中銀カプセルタワー

参加者:3名(5日)/ 3名(22日)

ナビゲーター:和田菜穂子

 

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毎回同じ様で同じじゃない、メタボリズム建築を学ぶツアー。まずは新橋駅SL広場横のニュー新橋ビルを見学。このビルの場所には戦後に闇市が広がっていたそうで、1Fの商店会は外の街がそのまま続いている様な店配置と新橋らしいサラリーマンご用達の店が並んでいるのが特徴的です。2Fはマッサージの店が多いのが特徴です。ふとトイレに眼を巡らすとチップ制になっているのに気付かされました。アジアに旅行に行くと大体どの国のトイレもそのシステムになっていますが、このニュー新橋ビル2Fにおいても同じ体制を取っているようです。続いて外からでは分からない特徴が高層階の住居部にありました。玄関ドアが団地サイズのように小さく、これには参加者の方達も驚きを隠せませんでした。

 

ビル全体の内装で特徴的なのは、やはり何と言っても階段室の壁面のタイルです。階段がある場所によって青系・黄褐色系・赤系に色分けされていて、それが人を誘導する役目を果たしている事に気づかされます。その他にも階段踊り場の四角く配置された照明や階段裏側のもこもことした造形、エスカレーター横の艶のある三角形タイルなど、1971年に建てられた古いビルと一言では言い切れない、魅力が沢山詰まった建物でした。プレキャストコンクリートで覆われた外観など、内外共に特徴的なビルです。

 

ニュー新橋ビルを後にして向かったのは1967年竣工の静岡新聞・静岡放送東京支社ビル。丹下健三氏により建てられたメタボリズム建築は、道路と歩道の間に挟まれた狭小地に建っているにも関わらず、小さな池を有しています。建物構造はいたってシンプルです。同じ様なビルが林立している中にあって独特な雰囲気を漂わせます。

 

最後にツアーの目玉である中銀カプセルタワービルに向かいました。中銀カプセルタワービルは今回のツアー見学で訪ねたビルの中で最も新しい、1972年に建てられたものです。それにも関わらず歩道橋から見る全体像は老朽化が目立ち、その驚きはビル内部に入ってからも続きます。カプセル内部に入った後は、電卓の古いも自体や、ダイヤル式電話、竣工当時からのユニットバス等を楽しく見学しました。その後モニターを見ながら、メタボリズム建築と黒川紀章氏について学びます。

 

ツアーの始まりが、丁寧に使われ続けているニュー新橋ビルから始まった事もあり、中銀カプセルタワービルの現状に参加者の皆様は色々と考えさせられるものがあった様子です。ただ単に建物を見学するだけではなく、建物の在り様についても思案する、意義深いツアーとなりました。

 

レポート:阿久根 直子(学生インターン)

桑沢デザイン研究所 デザイン専攻科1年